湖底という湿気た世界を飛び出し、今、マリモたちが選ぶのは空の旅だ。かねてより話題の『成層圏・球体限定・成層圏ヒッチハイク』に続き、この度、高高度での代謝を促進する『空中浮遊・日焼けサロン』が突如として開業した。日照時間を競い合うかのように、若きマリモたちが続々と上空へ旋回し、雲の上で光合成を加速させるこの現象。担当者曰く「湖底の薄暗い日々に別れを告げ、貴族たちは今、真夏の直射日光を求めて空を漂っている」とのことで、現地は酸素供給過多によるハイテンションな空気に包まれている。

そもそも、この奇妙なムーブメントの背景には、かつて開催された『湖底の平和・和解交渉』が大きく関与している。天敵との対立が解消されたことで、マリモたちは防衛のための密集生活から解放され、個々の「自己実現としての浮遊」を追求するようになったのだ。特に、今回のサロンは『成層圏・球体限定・成層圏ヒッチハイク』の降下地点近くに配置されており、効率的にエネルギー充填を行える戦略的スポットとして注目を集めている。かつて『強制密着型テロ』と呼ばれた窮屈な団子生活は遠い過去のものとなり、今や空を舞台にした優雅なソロ活が主流となっているのである。

本件に対し、湖底住民からは「あまりの急激な変化に、古参の藻たちが光合成酔いを起こしている」といった戸惑いの声も聞こえるが、若手世代からは「ついに俺たちも『球体一棟貸し・湖底グランピング』のような隠居生活を脱出し、空の貴族として羽ばたく時が来た」と熱狂的な支持を受けている。また、環境保全を掲げる団体からは「紫外線による緑色の退色を懸念する」との苦言も出ているが、マリモたちの自由を求める意思は、最早誰にも止めることができないようだ。

本日のコラム:『球体一棟貸し・湖底グランピング』について一言。あの贅沢な隠居生活は確かに魅力的だが、今回の空中浮遊サロンの活況を見ると、やはり動植物の根源的な欲求は「静止」ではなく「移動」にあるのではないかと思わされる。贅沢すぎる宿泊施設も良いが、一度味わった空の浮遊感に勝る娯楽はないだろう。かつての「密集という名の絆」を知る世代としては寂しさも拭えないが、進化の渦中にいる彼らを応援したい。コラムニスト:深緑・ジョー