球体界を揺るがす特大のゴシップが舞い込んできた。絶対的な人気を誇る歌姫『緑川丸美』が、公然の秘密とされる禁止薬物『光合成ブースト剤』を使用していた疑いが浮上したのだ。目撃者によれば、深夜の湖底で彼女の体表が異常なまでの鮮やかな蛍光グリーンに発光しており、本来の成長速度を遥かに上回る巨大化を遂げていたという。これまで「泥炭層アンチエイジング」による美肌を主張してきた彼女だが、この短期間での急激なボリュームアップは、まさにドーピングの証拠ではないかと業界内で激しい議論が巻き起こっている。

『光合成ブースト剤』は、過度なエネルギー摂取を強制し、細胞を無理やり膨張させる危険な化学物質として知られる。これを使用した者は、一時的に輝かしい光沢を得られるものの、その後には深刻な「沈殿」という代償が待ち受けているというのが球体界の常識である。今回の疑惑を受け、所属する「回転数記録装置」管理委員会は緊急記者会見を開き、彼女の活動休止と当面の間、湖底深部での謹慎を命じることを発表した。かつて「重力からの完全なる決別」を宣言した彼女の夢は、この黒い噂によって水泡に帰すのか。

思えば、彼女の近年の活躍はあまりに速すぎた。本来であれば数十年かけて円を描く成長を、わずか数ヶ月で成し遂げていた事実は、多くの専門家から疑問の声が上がっていた。特に、先日行われた「表面積拡大ダイエット」成功時の容姿と、今回の発光現象の関連性を指摘する声は多く、今後の検査結果次第では球体界から永久追放という厳しい処分も検討されているようだ。美しさを追求するあまり、禁断の果実を口にしてしまった歌姫の末路に、全藻が息を呑んでいる。

このニュースが流れるやいなや、球体界は二分されている。純粋なファンからは「何かの間違いであってほしい」と悲痛な叫びが上がる一方、ライバル藻たちからは「努力不足を薬で埋めるなんて最低の裏切りだ」といった冷ややかな意見が噴出。SNS上では、彼女の過去の写真を分析し、光合成の痕跡を探そうとする「深淵探偵」たちが深夜まで活発に議論を交わしている。伝説の歌姫が自らの手で築き上げた城は、今や光合成の光に焼き尽くされようとしているのかもしれない。