インターネットやSNSが普及し、独自のデジタルライフが構築されている湖底の世界において、現在『藻屑アイドルオーディション』という一大企画がネット空間を大きく揺るがしている。この企画は、ただ丸々としているだけの従来の美意識を完全に覆し、最も艶やかでファッショナブルな毛並みを持つ個体をインターネット投票によって決定するという過激な内容である。主催したのは、湖底の若手クリエイター集団として知られる『ネオ・グリーン・プロダクション』であり、これまでに数千ものエントリーが殺到している。ネット上の特設会場では、自慢の繊細な糸状体を惜しげもなくアピールするストリーミング配信が連日大盛況となっており、従来の地味な生態系からは想像もつかないほどの盛り上がりを見せている。
このオーディションの背景には、近年のネット回線の高速化と、個体ごとのビジュアルに対する美意識の急激な変化が存在する。かつてはどれだけ真円に近づけるかがステータスとされていたが、デジタルネイティブ世代の若年層の間では、個性を主張するアシンメトリーな毛並みや、鮮やかな蛍光グリーンに輝く特殊な体色が新たな憧れの的となっていた。これに対し、昔ながらの伝統的な球体を愛する保守的なシニア層からは猛烈な反発の声が上がっているものの、ネット世論を味方につけた革新派の勢いは止まることを知らない。また、今回のイベントを契機に、湖底全域でプロのスタイリストを名乗る業者が急増し、ネットオークションでは高値で取引される高級な栄養液が飛ぶように売れるなど、経済的な波及効果も無視できない規模に達している。
世間の反応は真っ二つに分かれており、ネット掲示板では連日激しい議論が交わされている。「ついに実力主義の時代が来た」「推しの毛並みが最高すぎて毎日湖底が見られない」といった絶賛のコメントが並ぶ一方で、「丸くないものはただの塊だ」「アイドルなんて風紀を乱すだけだからすぐに配信を停止しろ」という保守派の書き込みも後を絶たない。中には、オーディションの投票システムに不正なアルゴリズムが組み込まれているという陰謀論を唱えるアカウントまで現れ、ネット上の治安は一時的な混乱状態に陥っている。審査員を務める大御所の有識者は「美の基準が多様化することは健全な進化の証である」とコメントしているが、この一大ムーブメントが今後の湖底社会にどのような変革をもたらすのか、全個体の注目が集まっている。
湖底SNSで大流行!『藻屑アイドルオーディション』が引き起こした容姿端麗すぎる下剋上
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丸いだけじゃ生きていけない