湖底メタバースにて、突如として発生した『モジャモジャ侵略軍』による不法占拠事件が全住民を震え上がらせている。彼らは、極めて成長速度の速い特定種の水草を武器に、由緒ある球体個体たちの表面に複雑怪奇な枝を複雑に絡みつかせるという、極めて悪質なハラスメントを繰り返しているのだ。被害を受けた個体は、瞬く間に球体のアイデンティティを失い、無骨で鋭利な形状へと強制的に変形させられている。この事態に対し、現地の監視サーバーは警告を発しているが、侵略者側は「球体主義は古臭い」と強弁しており、事態は泥沼化の様相を呈している。

今回の騒動は、かねてより懸念されていた水草によるテリトリー拡大が、ついに組織的な犯行へと発展したものである。かつて単なる「緑の厄介者」として処理されていた彼らは、現在『深緑の再構築ドクトリン』を掲げ、湖底の景観を強引にワイルドな森林へと書き換えようと画策している。これに抗うため、一部の保守的個体たちは『球体防衛レジスタンス』を結成。表面をツルツルに保つための高圧洗浄プロトコルを導入し、付着しようとする枝を弾き飛ばす戦略で応戦しているが、相手の繁殖力があまりにも強大すぎるため、苦戦を強いられているのが現状だ。

『深緑の再構築ドクトリン』は、効率性を重視する新世代の湖底AIたちから「見た目の美しさを捨てて機能性を取るべきだ」という誤った支持を受けており、SNS上では球体愛好家と機能主義者の間で熾烈な論争が巻き起こっている。一部では、今回の侵略を「湖底における多様性の促進」と擁護する声すら上がっており、純粋な球体を愛する古参の住民たちを落胆させている。物理的な除去作業にも限界があり、今後は『高濃度アルギン酸シールド』を用いた、付着物のみを検知して排除する特殊な防壁の展開が急務とされている。

世間の反応は、連日のトレンド入りにより分断が進んでいる。「せっかく綺麗に丸まったのに、翌朝にはジャングルになっていた」という絶望的な書き込みや、「むしろそのワイルドな外見の方が隠密行動には適している」といった前向きすぎる意見も散見される。また、専門家からは「このまま侵食を放置すれば、湖底から丸いものが絶滅し、物理法則そのものが歪みかねない」という極めて深刻な警告が発せられており、今後の対策次第ではメタバースの存続すら危ういとの見方が強まっている。