阿寒湖の深層部で、球体たちの穏やかな日常が崩壊の危機に瀕している。近年、湖底の日照権を巡る争いが激化する中、ついに一部エリアで「マツモ要塞」と化した植物群が形成され、居住区域を物理的に封鎖するという事態が発生した。これまで日光の分配を巡って静かな駆け引きが行われていたが、今回の件では特定の緑の侵入者が光を独占する強引な戦術を採用。球体たちの健康を維持するための日光が完全に遮断され、多くの個体が「褐色化の恐怖」に震える夜を過ごしている。

この事態を受け、球体有志団体による『第1回・湖底日照調整委員会』が緊急招集された。彼らは、マツモが光を独占する行為を「光の不当占有」と断定し、即時撤去を要求する決議を採択。しかし、マツモ側も「我々には成長の自由がある」と主張し、湖底には一触即発の空気が漂っている。一部の個体は、このままでは球体としての丸みを維持できず、ただの平らなコケに成り下がると悲痛な声を上げている。

なお、この騒動の背後には、以前から領土を拡大していた『鋏脚・専属ボディガード』たちの監視の甘さがあるとの指摘も浮上した。彼らはかつては球体たちの盾となっていたはずが、現在は中立を装い静観を決め込んでいる。湖の管理当局は、事態の沈静化を図るために、次回の定期清掃にて物理的な撤去作業を行うと発表したが、それまでの期間、球体たちは自力で光を反射させる「鏡面反射戦法」の開発を急ぐという異例の事態に追い込まれている。

SNS上では「我々の尊厳が奪われている」「丸さを守るための戦い」といった声が渦巻いている。かつて『全天候型・沈没船ホテル』の建設をめぐって議論を交わした識者からは、「光がなければ我々はただの塊である。団結して立ち上がる時だ」という過激な扇動まで飛び出した。湖底の平和を取り戻すべく、明日から湖全域で『光の公平分配デモ』が予定されており、今回の光合成争奪戦は、これまでにない大規模な衝突へと発展しそうな様相を見せている。