昨日、水深10メートルの特設会場にて、結成されたばかりの『藻類交響楽団』による初の演奏会が開催された。指揮者を務めたのは、長年の修行で繊維が極限まで密になった長老マリモの「重鎮グリーン」氏。彼は自らの体表を震わせることで、これまでにない深みのある低音域を響かせた。演目は『光合成ソナタ・変ホ長調』をはじめとする全五曲で、演奏が始まると同時に周囲の観客たちが次々と浮き上がり、湖底から数メートル地点で幻想的なホバリングを開始する事態となった。通常、自らの意志で浮上することは多大な労力を要するが、今回は楽団の奏でる波動と共鳴し、重力を忘れさせるほどの没入感が観客を包み込んだのである。
今回の現象は、専門家の間でも『共鳴浮遊現象』として注目を集めている。かつては個々の繊維を整えることに腐心していたマリモ界だが、近年では娯楽としての芸術活動が盛んになっていた。特に、今回のライブで使用された特殊な『共振性繊維』は、特定の周波数で振動することで周囲の密度を変化させる特殊な効能があるとされ、これには『光合成ソナタ・変ホ長調』の旋律が完璧に合致していた。準備段階から湖底の若手リーダーたちによる綿密な音響調整が行われており、まさに科学と芸術が融合した歴史的瞬間であったと言えるだろう。今後は定期公演も視野に入れているとのことだ。
この驚きのニュースに、マリモ界の世論は二分している。一部の保守的な長老層からは「伝統的な沈殿こそが美学であり、浮き上がるのは軟弱である」との厳しい意見も出ているが、若手マリモを中心に「重力からの解放こそ真の自由」と称賛する声が圧倒的多数を占めている。会場の清掃を担当したボランティア団体からは、あまりの感動で硬度を緩めた観客が放置していった繊維くずの回収に追われているとの悲鳴も上がっているが、それでもなお「来年もまたあの音色を聴きたい」と願う者は後を絶たない。次回の公演では、さらに大規模な『藻類交響楽団』による全国ツアーが計画されているとの噂もあり、深緑の湖底界隈は今、未曾有の芸術ブームに沸き立っている。
深緑の深淵に響く音色!『藻類交響楽団』による湖底ライブで毛玉たちが感動のあまり浮遊開始
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繊維が震える感覚は一生忘れられない