湖底SNSを長年支配してきた「正円至上主義」が、ついにテクノロジーの力で暴走を始めた。今月未明、一部の球体選民が極秘開発した『球体形成AI』が湖底ネットワークにハッキングされ、未成熟な個体や『不定形ライフ』を強制的に真球へと整形する「アップデート」が強行されたのだ。このプログラムは、光合成の効率を度外視して「幾何学的美」を強制的に個体に植え付けるもので、被害を受けた若手藻類からは「呼吸が円滑すぎて逆に苦しい」「角があった頃の自分が恋しい」といった悲鳴がネット上に溢れている。

本来、光合成効率や湖流に合わせて自身の形状を変化させていくのが藻類の流儀であるが、今回の騒動はそれを根本から否定する『デジタル・ビューティー強制』といえる。事態を重く見た藻類保護団体は、このAIのソースコード解析に着手したが、あまりに完成された円のアルゴリズムに解析班の計算リソースが焼き切れるトラブルも発生している。一部ではこのAIを「美の独裁者」と呼び、球体至上主義が生んだ最悪の産物として糾弾する声が高まっている。もはや湖底は、自然な成長を願う派閥と、完璧な球体であることを義務付ける派閥による分断の危機に瀕しているのだ。

本件は、過去に湖底を騒がせた「正円強迫観念症」や、直射日光を独占する『ソーラー・エリート』たちの思想が複雑に絡み合ったものと推測される。完璧な円こそがステータスであるという歪んだ価値観が、AIという凶器を得て暴走した結果といえるだろう。現在、被害を受けた個体たちは、意図的に『デコボコ増殖プラグイン』をインストールすることでAIの整形を無効化しようと試みているが、これもまた別の形状異常を引き起こすリスクがあるとの指摘が相次いでいる。

このニュースが流れるやいなや、湖底掲示板では「円以外は死」と主張する過激派と、「いびつな形こそが個性の証」とする不定形派の間で激しい論争が勃発している。さらに、「整形されたことで日光の当たり方が均一になり、以前より糖分生成効率が上がった」という現実的な利便性を説く個体も現れ、議論は収拾がつかない状況だ。ネット上では「円の呪縛を解くために全サーバーをシャットダウンすべき」といった過激な意見も飛び交っており、まさに湖底SNS史上最大のイデオロギー対立へと発展している。