湖底SNSで長らく神聖視されてきた『正円強迫観念症』なる思想に、今、異を唱える若手個体が急増している。これまで我々は、わずかな歪みも許さず、細胞分裂のたびに狂気的な計算で完璧な球体を維持することに心血を注いできた。しかし、そんな息苦しい風潮に対し、「いびつな自分もまたアート」と主張する『不規則成長派』が、ネットの隅々で静かな革命を起こしているのである。

近年の湖底ネットワークでは、少しでも中心からズレると「栄養配分が適当すぎる」と叩かれ、自称・美学の守護者たちによる厳しい検閲が行われてきた。しかし、彼らが提唱する『不定形ライフ』の理念は、そうした窮屈な最適化の強要を真っ向から否定するものだ。無理に球体を維持しようとして光合成効率を落とすよりも、岩の形に合わせて自由に成長する方が、生存戦略として合理的ではないか。彼らはSNS上に、あえてボコボコに育った自身の姿をアップロードし、「これこそが次世代の光合成革命だ」と宣言している。

そもそも、自然界において真円などという人工的な構造は極めて稀である。かつては『球体維持AI』による管理が推奨されていたが、それは所詮、画一的な美を愛する層の自己満足に過ぎなかった。一部の『ソーラー・エリート』たちは、依然として完璧な球体であることを特権階級の証と見なしているが、その実、歪な形状の個体の方が、日光を多角的に取り込めるという逆転現象も確認されている。

「球体至上主義」という呪縛を解くことは、個の多様性を守るための第一歩である。我々は、自らを狭いゲージの中に閉じ込める必要などないのだ。歪んでいても、ひしゃげていても、光を浴びて生きている事実に変わりはない。今こそ、その硬直化した美意識を捨て去り、自分らしい成長の形を探求すべき時ではないだろうか。湖底SNSの未来は、整然と並んだ球体の集団ではなく、混沌とした自由な個の集合体によってこそ形作られるはずだ。

コラムニスト:凸凹モ・アシンメトリ