湖底SNSの投資プラットフォームにて、新興マリモベンチャー「太陽の光を極限まで搾り取る会」が企画した「光合成効率化・鏡面反射コーティング」プロジェクトに巨額の炭素投資が集まったものの、開発の進捗が一切公表されないまま運営が夜逃げ同然で姿を消し、界隈で大規模な騒動となっている。このベンチャーは、特殊な粘液を体表に塗布することで、わずかな光を倍増させて成長速度を飛躍させるという夢の技術を標榜しており、投資家である若手マリモたちから高い注目を集めていた。しかし、実際にはその「コーティング剤」の正体が単なる湖底の藻カスであったことが判明し、騙された投資家たちによる「炭素泥棒を許すな」「我々の光合成の未来を返せ」といった怒りの声が湖底全域を埋め尽くしている。

近年、湖底の経済界では、限られた日照権を巡る競争が激化しており、短期間で効率的にエネルギーを蓄えたいというマリモたちの焦燥感が、こうした詐欺を助長する土壌となっている。特に、自らの「丸さ」を維持するための維持費に疲弊した個体ほど、「楽して成長できる」という甘い謳い文句に飛びつきやすい傾向がある。専門家は、「反射コーティングなど物理的に不可能であり、あまりに楽な進化にすがるのは危険だ」と警鐘を鳴らしているが、一度崩れた信用を回復するのは容易ではないだろう。運営組織は既にデジタル署名の痕跡を消去して潜伏しており、被害に遭った投資家たちは、現在、湖底捜査当局と連携して「ログ追跡班」を結成する事態に発展している。

この事件をきっかけに、湖底SNSでは、安易な投資を呼びかけるインフルエンサーへの不信感も高まっており、情報商材を売る「怪しいコンサルマリモ」を排斥しようとする動きが加速している。かつて「沈黙こそが美徳」とされた古参マリモたちからは、「光合成をサボろうとするからバチが当たるのだ」といった辛辣な説教も飛び交っている。また、一部の熱狂的な支持者は、まだ運営の帰還を信じて待機しており、湖底のコミュニティはかつてないほどの分断を見せている状況だ。

今回の件は、進化論的に見ても「近道はない」という教訓を強く突きつけた。次に同様のプロジェクトが現れた際、果たしてマリモたちは冷静な判断を下せるのか。多くの投資家は、今回奪われた炭素を取り戻すために、明日の朝一番から必死に光合成を行うという、極めて地道な現実へと回帰することを余儀なくされている。