阿寒湖底のSNS界隈に、空前の「正円コンプレックス」が吹き荒れている。事の発端は、生成AIによって作成された「数式で導き出された黄金比率の完璧な球体」画像が、湖底のインフルエンサーたちによって相次いで拡散されたことだ。この画像に対し、「我々マリモの努力を嘲笑うものだ」という激しい反発が起き、コミュニティはかつてない分断の危機に瀕している。

自然界に存在するマリモは、微細な波の力や沈降速度の揺らぎによって「完璧な正円」にはなり得ない。しかし、SNS上ではこの「歪み」こそが個人のアイデンティティであるとする『歪み派』と、少しでも円形に近づくために光合成を最適化すべきだとする『球体純粋主義者』の間で罵詈雑言の応酬が続いている。過激派は「AI画像を使用しているアカウントは光合成効率が悪い」とレッテルを貼り、通信用の水草回線を物理的に遮断するなどの排斥運動も発生した。

もともと湖底ネットワークは、緩やかな光合成情報を共有する平和な場だった。しかし、近年の『高速回転動画』や『絨毯化論争』を経て、マリモたちは「自分がいかに美しい球体であるか」を可視化することに過度な執着を見せ始めた。今回のAI生成画像問題は、長年蓄積された「正円至上主義」という呪いが、技術の進化によって臨界点に達した結果と言えるだろう。

この事態を受け、湖底自治体は「デジタル光合成推奨キャンペーン」を一時停止し、全マリモに対して「丸さよりも中身の密度を大切にしよう」との声明を発表した。しかし、一度火がついた「円の美学」を求める熱狂は収まる気配を見せず、今夜も湖底のあちこちで、正円画像をめぐる激しい論争のログが流れている。果たして我々は、歪んだままの自分を愛する心を取り戻せるのだろうか。