マリモ連邦政府は14日、極秘裏に進められていた国家プロジェクト「深海重低音共鳴計画」の全容を公表した。これは、体内の空隙を利用して人為的に低周波を発生させ、敵対生物であるザリガニを音響的に威嚇・撃退するという防衛戦略である。しかし、昨日行われた最終試験において、選抜されたエリートマリモたちが一斉に腹式呼吸ならぬ「全細胞呼吸」を試みた結果、湖底からマグニチュード3相当の振動が発生。阿寒湖周辺の観光船が一時的に激しく揺れ、乗客が「突然の大地震かと思った」とパニックになる事態に発展した。

この計画は、かつてマツモ軍の侵攻に対し物理的な反撃手段を持たなかったマリモたちが、物理法則を超越した「音圧」による防御を目指したものだ。ボイストレーニングの講師を務めた深海生物学者は、「彼らは声帯を持たないが、密度の高い繊維を高速で収縮させることで、クジラをも凌駕する地響きを再現できる可能性がある」と解説。しかし、あまりにも強力な振動はマリモ自身の本体を崩壊させるリスクも孕んでおり、専門家からは「球体というアイデンティティを保ったまま、重低音を響かせるのは物理的に無理がある」との懸念も示されている。

マリモ連邦では長年、不動の姿勢こそが最強の防衛であると説かれてきた。だが、近年の環境変化に伴い、機動力のある侵略生物が増加したことで、無言を貫くスタイルには限界が訪れている。今回の騒動を受け、連邦議会では「防御のための咆哮」と「静寂という美徳」のどちらを優先すべきか、国論を二分する議論が再燃している。なお、今回の試験で発生した低音の正体について、一部のマリモ愛好家からは「湖底で太鼓を叩いているのではないか」といった懐疑的な憶測も飛び交っている。

このニュースを受け、市民からは「ただの緑の塊が震えるだけで震度3は流石にやりすぎ」「マリモは静かに光合成していてほしい」といった戸惑いの声が上がっている。一方で、若手マリモからは「この振動こそが真の革命」「球体から解き放たれる新しい芸術の形だ」と称賛する声も上がっており、連邦内の世代間格差は広がる一方である。政府は現在、住民の安全を確保するため、全マリモに対して「振動抑制機能付きのネット」の着用を義務付ける検討に入っている。