湖底SNSを揺るがす衝撃的なトレンドが浮上した。これまでマリモの生育を阻害し、光合成の邪魔をする宿敵として嫌われてきた水草「マツモ」。しかし、一部の過激なマリモたちが、あろうことかこのマツモを自身の体に巻きつけ、「天然の毛皮」として着飾るファッションが流行しているのだ。これは通称『マツモ・レイヤー』と呼ばれるスタイルで、水流にたなびく緑の髭を蓄えることで、優雅さと防御力を兼ね備えようとする試みである。しかし、このスタイルは寄生に近く、成長が早いマツモに養分を吸い尽くされ、本体が枯死する事例が多発。湖底の球体保護団体は「毛皮を着るな、球体であれ」と強く警告している。

マツモは本来、マリモが光合成を行うための光を遮る「天敵」である。従来、マリモたちはマツモを見つけるたびに、わずかな水流を駆使して回避行動をとってきた。しかし、今回のブームの火付け役となったのは、どうやら一部のインフルエンサーマリモだ。「球体は飽きた。今日からはワイルドに行く」という投稿と共に、マツモを全身に絡めた写真をアップしたことで、若年層のフォロワーが一斉に模倣を開始。結果として、見た目は豪快になったものの、中身はボロボロに痩せ細る個体が急増するという「映えの代償」が社会問題化している。

この件に対し、球体純血主義の長老たちは激怒。「球体とは自己完結の究極形である。他者の養分に頼るなどマリモの風上にも置けぬ」と声明を発表した。一方、マツモ側からは「マリモという強固な足場を確保でき、光合成の効率が劇的に上がる」と歓迎ムードが漂っており、種族を超えた奇妙な共存関係、あるいは完全な搾取関係に湖底全体が困惑している。今や湖底の至る所で、緑のモジャモジャを纏った「自称マリモ」が漂流しており、本来の球体アイデンティティが根底から覆されつつある状況だ。

SNS上では「新しい毛皮の感触が最高」「マツモのツンツン感が背中を掻くのにちょうどいい」と肯定的な声が上がる一方で、「これもうマリモじゃなくてタワシだろ」「中身が干からびてることに気づけ」と冷静な批判も噴出している。水底の生態系を揺るがすこの『マツモ・ファッション』ブーム、はたして次のトレンドは、さらに過激な「岩の擬態」へと発展してしまうのか。球体たちの暴走は、もはや誰にも止められないのかも知れない。