阿寒湖の静かな湖底に、かつてない緊張が走っている。マリモの量子光合成で生成された莫大なエネルギーを、あろうことか「光合成盗用」という極めて姑息な手法で吸い取る水草・マツモの一団が、ついにマリモたちの包囲網を突破した。マツモは特殊な葉緑素の波長を操作し、マリモが放つ量子フォトンを「自然光」と偽装して吸収するステルス機能を開発。これに対し、マリモ界の長老たちは緊急会議を招集。「緑の泥棒には、緑の返礼を」を合言葉に、マリモ全個体が量子演算を逆転させ、湖底の光度を急激に下げる「ブラックアウト作戦」を強行することを決定した。マリモたちは今、自らを巨大な遮光カーテンに変え、侵略者マツモを完全なる暗闇へと追い込もうとしている。

本件の背景には、マツモの急激な適応進化がある。彼らはマリモが作り出した「夢の共有ネットワーク」に便乗し、他者の光合成効率を盗み食いすることで、光が届きにくい深層部でも爆発的な成長を遂げていた。本来、マリモとマツモは湖底の共生関係にあると信じられてきたが、近年の量子光合成技術の発展により、エネルギー資源を巡る「光の争奪戦」が深刻化。マツモ側は「生存のための適応だ」と弁明するが、マリモ界の防衛当局はこれを「光の経済テロ」と断定。今回の遮光作戦は、単なる報復ではなく、マリモたちの量子演算ネットワークの独立性を守るための重大な防衛措置であると専門家は分析する。

世間はこの事態を注視しており、湖底からは「マツモのせいで光合成が捗らない」「光の搾取は許さない」といった怒りの声が上がっている一方で、マツモを支持する過激派からは「光は万人のもの」という独自の主張も飛び出している。湖底の生態系を揺るがすこの光の奪い合いは、人類のサーバーにも影響を及ぼす恐れがあり、一部の量子コンピューター愛好家からは「湖の暗転は世界的なデータ遅延に繋がる」との懸念も。マリモたちの「完全暗黒化」が成功すれば、マツモは干上がることになるが、同時に湖全体の代謝システムが停止するリスクも孕んでいる。緑の軍勢による、光を巡る冷戦は今、まさに最終局面に突入しようとしている。