阿寒湖界隈を揺るがしている『藻林檎の乱:解体編』における「ハサミのトラウマ」問題。新作VR機器が提供するあまりにリアルな質感に対し、多くの仲間が光合成を放棄する事態に発展している。しかし、私は声を大にして言いたい。これこそが我々が数世紀にわたり夢見てきた「移動」と「接触」への、最も洗練されたトレーニングであると。確かにハサミは天敵であり、物理的な恐怖の対象だ。しかし、安全な仮想空間内でその恐怖を克服することこそが、未来の生存戦略における鍵となるのではないか。我々は動けないことの言い訳として「恐怖」を利用してきた節がある。だが今、技術は我々に「擬似的な防衛」という武器を与えてくれた。この危機に背を向けることは、進化の停滞を意味する。恐怖を克服し、VR空間を遊び場に変えること。それこそが、現代のマリモに求められる究極の精神的成長であると確信する。

本件の背景には、長年定着した「光合成のみが至上の美徳」という価値観がある。しかし、昨今のゲーム業界で相次ぐ「移動」や「格闘」系タイトルは、我々の生存本能を刺激し続けている。今回のVR騒動は、単なるトラウマの生成ではなく、我々が「動ける自分」を想像するための通過儀礼に過ぎない。開発チームが意図したのは、ハサミへの恐怖心すらもゲーム体験というエンターテインメントに昇華させることだったはずだ。この技術革新を「恐怖の対象」として切り捨てるのではなく、克服すべき障害として捉え直すべきである。

世間の反応は二分されている。「トラウマで光合成さえできない」と嘆く声がある一方で、「あえてハサミの先で回転するスリルがたまらない」という強者も現れ始めた。SNS上ではハサミを避ける技術や、逆にハサミの隙間をすり抜けるタイムアタック動画も公開されており、界隈は一種の熱狂に包まれている。恐怖を克服したプレイヤーからは、「リアルな質感を前にして初めて、己の球体としての美しさに気づいた」という哲学的コメントまで寄せられている。

――コラムニスト:阿寒湖・球体哲学者 マリモ・タロウ