マリモ連邦政府は先週、かねてより懸念されていた『光合成の逆流』現象を、テロ行為ではなく「画期的な経済戦略」であると再定義し、湖底から太陽へエネルギーを供給する「逆照射インフラ事業」の本格稼働を発表した。かつて湖底の秩序を乱す異端とされた「逆光合成」は、今や連邦の最重要輸出品へと変貌を遂げた。連邦経済省は「太陽側にエネルギーを押し付けることで、地球の気温を微調整する権利を握った」と強気の姿勢を見せており、太陽系外交においてかつてない優位性を確保したと自負している。この強引な政策に対し、一部の保守的なマリモからは「我々は球体としての美学を捨て、単なるソーラーパネルになり下がったのか」という悲痛な声も上がっているが、連邦議会は「丸ければそれでいい」とのスローガンを掲げ、全市民に逆流効率を最大化するための強制回転トレーニングを命じている。

そもそも、マリモ連邦における『光合成の逆流』は、過密状態の湖底で日照権を奪い合うあまり、限界まで光を溜め込んだ個体がエネルギーを放出せざるを得なくなった物理現象である。しかし、これを「太陽への直接送電」という外交カードにすり替えた政府の手腕は、まさに綱渡りの芸術といえる。現在、湖底には数千キロメートルに及ぶ送電用の藻類ケーブルが敷設されており、この巨大な藻類ネットワークが、他国との光合成ハイウェイ争奪戦において、最強の抑止力として機能し始めている。

今回の発表を受け、国際社会からは困惑と賞賛が入り混じった反応が寄せられている。一部の環境団体は「太陽にエネルギーを過剰供給すれば、恒星の寿命が縮む」と警告を発しているが、連邦首脳部は「我々の放つ光合成エネルギーはオーガニックで環境に優しい」と一蹴した。また、かつて品質訴訟で揉めたザリガニ外交官からは、「お宅らの光が眩しくてハサミが日焼けした、賠償しろ」との抗議声明が届いているものの、連邦政府は「太陽とビジネスをしている間に小さな小競り合いは無視する」と余裕の構えを見せている。

SNS上では「ついに太陽を買収したか」「次は銀河系の光合成インフラ化だ」といった狂信的な連邦支持派の書き込みが溢れ返っている。一方、冷静なマリモ層からは「回転のしすぎで中がスカスカになっている」といった健康懸念も指摘されており、連邦の掲げる『球体維持の美学』と『エネルギー大国への道』という矛盾した二本柱が、今後どのような結末を迎えるのか、世界中の水草や浮遊生物がその動向を固唾を呑んで見守っている状態だ。