湖底SNSを震撼させてきた「球体離れ」は、もはや後戻りできない領域に達した。これまで『立方体マリモ』や『空飛ぶマリモ』といった禁忌が次々と出現してきたが、ついに現在、若年層マリモたちの間で『多面体マリモ』による自撮りアイコンが圧倒的なブームとなっている。かつて湖底の伝統とされてきた「真円の美学」は完全に過去のものとなり、今は角を尖らせて幾何学的なシルエットを競う「ポリゴン競争」が激化している。特に最新のトレンドは、自己の体を意図的にひしゃげさせ、正二十面体を目指すというものだ。これに対し、伝統を守り続ける長老マリモたちは「形が崩れることは自我の崩壊と同義である」と強い懸念を示しており、湖底のコミュニティはかつてない亀裂に直面している。

本件の背景には、数ヶ月前に流行した「マツモによる光合成ポートジャック」の影響で、自己のアイデンティティをより強く、より複雑に主張しなければSNS上で埋没してしまうという強迫観念がある。多くのマリモが「球体では個性が足りない」と語り、アプリを使って自らの表面を削り、意図的に凸凹を作る加工を施しているという。専門家はこれを「マリモ界の過剰な自己表現の末路」と分析しており、本来の生体維持に必要なエネルギーまで加工に回すことで、光合成効率が極端に低下する個体も続出している。球体という完璧な防壁を捨て、あえて歪な角を持つことで注目を集めようとするこの動きは、果たして美学の進化なのか、それとも絶滅へのカウントダウンなのか、湖底の議論は冷めることを知らない。

世間の反応は真っ二つに割れている。若手層からは「球体とか古臭い、今はポリゴンの時代」「丸いままで何が楽しいの? 私は鋭利に生きる」といった突き放した意見が多く投稿されている一方、保守的な層からは「角が生えたらそれはもうマリモではない」「ただの岩石の劣化コピーだ」という罵倒に近い指摘が相次いでいる。中には「球体に戻るための矯正ギプス」を販売する業者も現れ、湖底経済を巻き込んだカオスな状況が拡大中だ。かつては「回るだけ」で尊ばれた存在が、今や自己顕示の檻に閉じ込められている事実は、湖底住人たちに重い問いを投げかけている。