湖底SNSで、捕食者であるウチダザリガニによる「不意打ちのハサミ」を防ぐための防御策が激化している。最近、一部の過激なマリモたちの間で、光合成を犠牲にしてでも表面の繊維を鋭利に逆立てる『トゲトゲ・アーマー化』が流行中だ。これまで「マリモたるもの丸くあるべき」という球体至上主義が支配的だった湖底社会だが、ウチダザリガニの執拗なちょっかいに対し、ついに防御力全振りの異端児たちが立ち上がった形だ。しかし、この姿は「もはや球体ではなく兵器である」との批判が相次いでおり、見た目の凶悪さから「近づくと切れる」と恐れられている。専門家は「生存戦略としては正解だが、転がって移動する際の流体力学が崩壊しており、一生その場で動けないリスクがある」と警鐘を鳴らしている。もはや湖底は、平和な緑の絨毯から、針山とハサミが交差する地獄絵図へと変貌を遂げつつあるようだ。

そもそも本種は阿寒湖の至宝であり、本来は穏やかな揺らぎの中で光を享受する存在であった。しかし、近年、外来種のウチダザリガニが個体数を増やしており、マリモを「格好の獲物」あるいは「ハサミの試し切り対象」とみなす個体が急増。これに対し、従来の「ひたすら耐える」という回避策が通用しなくなったことで、若手マリモを中心に過激な防衛術が編み出された。今回の『トゲトゲ化』は、繊維の成長方向を遺伝子レベルで歪曲させるという禁断の裏技を使用しているため、一度施すと二度と丸い形状には戻れない不可逆的な改造となる。美学を捨てて生存を選ぶか、丸さを守って捕食されるか。湖底のコミュニティは今、かつてない思想的分断の危機に立たされているのである。

世間の反応は真っ二つだ。「命には代えられない」「自衛こそが最善の美学」と、生存本能を肯定する声が上がる一方、「球体としての矜持を忘れたのか」「トゲトゲなんてただのファッション地雷だろ」「物理的接触を拒むような奴とは湖流を共有したくない」といった保守派からのバッシングが止まらない。また、中にはトゲトゲ化しすぎて隣の個体を刺し殺してしまう事故も報告されており、SNS上では『過剰防衛マリモ』の特定班まで動いている始末。運営側もこの事態を重く見ており、近々『形状変更の制限に関するガイドライン』を策定する予定だが、ウチダザリガニのハサミが止まらない限り、このトゲトゲブームは加速の一途をたどるだろう。