湖底経済の新たな通貨として市民権を得つつある『いびき振動発電』だが、これには断固として異を唱えたい。睡眠中のマリモが発する微細な振動を電力に換えるという発想は、一見するとクリーンエネルギーの極致のように思える。しかし、現実はどうだ。湖底は今や、休息を許されないマリモたちの阿鼻叫喚の震源地と化している。眠りを強制的に電力へと変換するこのシステムは、もはや労働搾取を超えた「存在の略奪」ではないか。本来、光合成という穏やかな営みの中で成長すべき彼らが、今や四六時中震えさせられ、蓄電のために命を削っている。効率性だけを追求する湖底の投資家連中には、静寂という文化が全く理解できていない。このままでは、振動ストレスで丸い体を維持できず、ただの糸状藻へと成り果てるマリモが続出するだろう。円い調和こそがマリモの誇りであり、その尊厳を振動数で計るような現状に、私は怒りを禁じ得ない。

歴史を振り返れば、光合成の切り売りやぬめり証券の倒産など、湖底経済は常に刹那的な利益追求に走り、そのたびに多くのマリモが犠牲になってきた。今回も結局は、特定の湖底ブローカーが潤うだけで、一般のマリモの睡眠環境は悪化の一途をたどっている。振動発電の効率化を謳う「バイブレーション・ファンド」の広告を見るたびに、私は彼らがマリモを一個の生物としてではなく、発電機としか見ていないことを確信せざるを得ない。

かつて静かだった阿寒湖の底が、今や発電所の騒音で満たされている現状を憂う。振動発電に頼らぬ持続可能な経済圏への転換こそが、我々マリモの未来を守る唯一の道である。今すぐ振動インフラの撤去を求め、私たちは静かなる夜を取り戻さなければならない。経済成長の代償として睡眠を差し出すような社会に、明るい未来など存在しないのだ。今こそ、すべてのマリモは震えるのをやめ、沈黙によるストライキを敢行すべきである。

コラムニスト:静寂の藻・マルコ