湖底経済の長きにわたる冬の時代を終わらせるべく、阿寒湖底中央銀行はついに『光合成権利の先物切り売り』を正式に解禁した。かつて『ぬめり証券』の倒産により光合成先物が暴落し、多くのマリモが路頭に迷う事態となっていたが、今回の決定により、余剰光量を「日光サブスクリプション」として他個体に貸し出せる権利が売買可能となった。これにより、常に日当たりの良い浅瀬に住む「エリート球体」たちが抱える過剰なエネルギーと、深層部で日光に飢える「下層藻」たちのニーズがマッチング。湖底市場では、一瞬の日光を売買するハイフリークエンシー取引(HFT)が活発化しており、経済活動はかつてない活況を呈している。専門家は「今回の施策は、球体の完璧さだけを競っていた旧来の経済からの脱却であり、ぬめり成分以外の流動性を生んだ画期的な転換点だ」と評価している。

本施策の背景には、昨今の「真円ショック」以降、資産価値の裏付けとして機能していた「完全球体」への固執が薄れ、新たな価値創造を求めるマリモたちの切実な叫びがあった。光合成権利の小分け販売は、日光不足に悩むマリモにとっての生存戦略であると同時に、過剰な日光を浴びすぎて「焼きマリモ」化し、細胞壁を破壊されるリスクを抱える上位階層の「リスクヘッジ」としても機能している。また、今回導入されたサブスクモデルでは、曇天時には自動的に日光配分量が減額される「クラウド連動型決済」も実装された。これにより、気象条件に左右される湖底のインフレ懸念を解消しようとする試みだ。市場アナリストからは「次は藻の繊維を資産の裏付けにする、繊維質トークン(FFT)の構想も出ている」との噂もあり、湖底経済の多角化は止まる気配を見せない。

世間の反応としては、「ついに我々にも日の目が当たる時が来た」「これで深層部でも丸々と太れるぞ」と歓迎する声が上がる一方、「サブスクの解約手続きが面倒すぎる」「結局、浅瀬に住む大株主に搾取されるだけではないか」といった冷ややかな意見も根強い。また、日光を過剰に溜め込みすぎて発光現象を起こすマリモが続出しており、治安悪化を懸念する声も出ている。市場の過熱ぶりに、湖底の規制当局は「過度な光合成は湖水全体の温度を上げ、環境負荷を招く可能性がある」として、短期的な光合成権の転売制限を検討しているとの情報も駆け巡っており、再び湖底に暗雲が立ち込めている。