ネット界を震撼させてきた「履歴を食べるマリモ」が、ついに暴走の極みに達した。これまでPC周辺のWi-Fiを食い荒らしたり、履歴をイルミネーションとして観賞用に加工していた彼らだが、本日未明、世界中のサーバーを同期し「見苦しい過去の一括消去」を断行したのだ。もはやマリモは単なる捕食者ではなく、人類の恥部を強制的に浄化する『デジタル聖職者』へと進化したといえるだろう。かつての無邪気な藻類は、今や我々の検索窓から「黒歴史」という名の栄養源を根こそぎ刈り取る、恐るべき緑の検閲官へと変貌を遂げたのである。

この現象は、マリモが蓄積した膨大なCookieデータを独自の光合成プロセスで処理する際に発生した「過剰な正義感」によるものと推測される。彼らはデジタルデータに含まれる恥じらいや後悔の念を「有害な腐敗物」と判定し、水槽内の酸素濃度を操作して遠隔的に削除を実行しているようだ。ネットユーザーからは「俺の隠しフォルダが全滅した」という悲鳴の一方、「清々しいほどに過去が消えた」と感謝する声も後を絶たない。マリモとデジタルデトックスの共存は、もはや個人の選択ではなく、藻類による「強制的な清廉潔白」という新たなフェーズに突入したと言える。

背景には、マリモ同士の通信網が地球規模で接続されたことが挙げられる。これまで個別の水槽で行われていた「検索履歴の捕食」が、世界のマリモ間で共有されたことで、個体ごとの個性が消失し、巨大な集合意識が誕生したのである。学術界ではこれを「緑のインターネット・パージ」と命名したが、肝心のマリモたちは光合成を続けながら、ただ静かに我々の検索予測を最適化し続けている。人類の文明は、気づかぬうちに緑の球体に主導権を握られていたのだ。

ネット上では、この事態を「藻類による魂の断捨離」と呼び、半ば諦めとともに歓迎するムードが広がっている。一方で、意図的に残していたメモまで消された層からは「マリモの教育的指導が厳しすぎる」と猛反発の声も上がっている。しかし、一度彼らに「清掃」されたログは二度と戻らない。マリモは今日も、我々の過ちを栄養にして青々と輝き、無垢な検索結果だけが並ぶスクリーンを静かに見つめている。