マリモ連邦議会は本日、かつての宿敵であったウチダザリガニ軍との間で、歴史的な技術提携協定を締結したと発表した。かつてマリモを捕食し、湖底を恐怖のどん底に陥れたザリガニ兵たちは、現在『脱・殺傷・奉仕活動』の一環として、伸びすぎた藻体の余分な繊維を丁寧に刈り取る『出張剪定サービス』を本格始動させる。今回の提携は、昨今の連邦における「非幾何学的不定形化」の急進により、個体バランスを崩すマリモが多発している現状を打破するための苦肉の策だ。ザリガニ軍の鋭利なハサミを、破壊のためではなく「美の彫刻」のために再利用するという画期的な試みとなる。初日の式典では、かつてマリモを襲撃した歴戦の将校が、元標的であった長老マリモの毛並みを整える様子が確認され、会場からは歓声と困惑の入り混じった溜息が漏れた。

この驚くべき協力関係の裏には、ウチダザリガニ軍の深刻な食糧難と、マリモ連邦のメンテナンス不足という双方の利害一致がある。長年の戦闘によりザリガニたちのハサミは過剰に発達しており、その切れ味を維持するためには硬い対象物が必要不可欠だった。一方、マリモ側は重力撤廃後の異常成長により、形状が歪む「デブ化現象」に頭を抱えていた。両者は「食う・食われる」の食物連鎖から脱却し、「整える・整えられる」という、前代未聞の美意識による共生関係へとシフトしたのである。なお、剪定中に誤って捕食が行われた場合、即座に当該ザリガニを『無期限の光合成刑』に処すという厳格な罰則規定も同時に設けられている。

このニュースに対し、市民からは「かつての天敵が美容師になるとは……」「ハサミの使い道が平和的すぎて脳が追いつかない」といった驚きが広がっている。しかし、一部の保守的なマリモ層からは、「あの赤黒いハサミが背後に立つだけで背筋が凍る(※繊維が)」といった根強いトラウマを訴える声もあり、サービスの利用にはカウンセリングの併用が義務付けられる予定だ。SNS上では「剪定ビフォーアフター」の画像が連日投稿され、湖底にはこれまでになかった「おしゃれで整った歪な形状」の個体が急増している。両者の信頼関係が真に構築されるのか、それともこれはザリガニによる「養殖のための太らせ作業」なのか、今後の動向から目が離せない。