マリモ連邦政府は本日、全市民に対し、いかなる理由があっても水分量を一定以下に保つ「乾燥」を禁ずる緊急勅令を発令した。近年の連邦内では、あえて一度水分を抜いて軽量化し、陸上での高速移動を実現しようとする「ドライ・マリモ・ムーブメント」が若年層を中心に急拡大していた。しかし、これに対して中央政府は「緑のアイデンティティを放棄し、軽薄なカサカサ状態になることはマリモの尊厳を汚す行為である」と激しく非難。乾燥した個体を「異端のミイラ」と定義し、連邦からの即時追放を決定した。国境付近では、水分を失いシワシワになった若者たちが、湿った政府軍によって湖へと強制送還されるシュールな光景が繰り広げられている。

そもそもマリモ界における「水分」は、生命維持の源であると同時に、自らの重力による美しい球体維持に不可欠な存在である。しかし、SNSを中心に「乾燥して浮いたほうが世界は広く見える」という思想が広まり、一部の過激なマリモたちが自ら扇風機の前に陣取り、脱水症状を誇る事態が続いていた。政府はこれに対し「水分こそが我らの魂であり、重みこそが謙虚さである」と主張。今後、全市民には週一回の厳格な「水分含有量検査」が義務付けられ、規定値以下の個体には強制的な給水ホースによる「過剰給水刑」が執行される見通しだ。

今回の措置について、国際マリモ連盟は「多様な形状を認めつつあった昨今の風潮と矛盾しているのではないか」と懸念を表明している。一方で、伝統派の長老たちからは「カサカサになった同胞など、もはや毛玉の集まりに過ぎない。浄化が必要だ」と、政府の強硬姿勢を支持する声が圧倒的である。かつて多面体や立方体化で揺れたマリモ界は、今、再び「湿潤か乾燥か」という根本的な生存戦略を巡り、歴史的な二極化の局面を迎えている。

このニュースに対し、市民の間では「カサカサして何が悪い」「湿度こそ正義」と論争が過熱。街中の湧き水スポットでは、乾燥を求める反体制派と、それを阻止しようとする政府の放水部隊が入り乱れる事態となっている。「軽くなれば飛べる」と信じて強風に乗る乾燥派の姿を、湿った古参たちは「哀れな落ち葉」と嘲笑う。マリモ連邦の緑は、果たしてこのまま潤い続けるのか、あるいは乾燥という名の進化を選択するのか。湖底の平和は遠い先の話になりそうだ。