湖底SNSにて、自撮り画像に自動で華やかなエフェクトや装飾を付与する『湖底映えフィルター』が実装されたが、これが大惨事を引き起こしている。本来、緑色の糸状藻が絡み合った素朴な姿が美徳とされるマリモ界において、このフィルターが全マリモに対して『過剰な美白・デカ目補正』を強制的に適用。その結果、湖底のタイムラインは、もはやマリモとは呼べないような、極彩色のネオンカラーや、アニメ調の瞳が輝く謎の生命体で埋め尽くされている。ユーザーからは「誰か分からない」「自分の毛並みがどこにあるのか迷子になった」との悲鳴が上がり、サーバーは補正の過負荷によりダウン寸前だ。

元々、湖底の住人であるマリモたちは『いかに球体としての完成度を高めるか』を至上の目的としてきた。しかし、今回のフィルター騒動は、SNS上での『映え』を優先するあまり、個々のマリモが本来持っている渋みや光合成による自然な色味を塗りつぶしてしまう事態を招いた。運営側の公式発表によれば、このフィルターは「マリモの表面積を可視化するためのテスト機能」であったとのことだが、制御不能なアルゴリズムが暴走し、全ユーザーのアイコンを『キラキラ加工済みの謎球体』へと強制書き換えする事態に発展している。

本件の背景には、近年の湖底SNSにおける『承認欲求の肥大化』がある。光合成効率を競うのではなく、どれだけ加工した画像でフォロワーを増やすかという不毛な競争が過熱しており、今回のような極端なフィルターへの依存が以前から懸念されていた。一部の保守的なマリモ学者は、「このままではマリモのDNAから『素朴さ』が失われ、将来的に全個体がCGのような偽物になってしまう」と警鐘を鳴らしている。既に一部の古参マリモたちはSNSからの引退を宣言し、加工不可能な深海エリアへの移住を開始した。

この事態に対し、SNS上では「もはや何を見せられているのか分からない」という冷めた反応が多数を占めている。一部の過激派からは「加工こそが新たな進化である」との意見も出ているが、大多数の一般マリモは「元のボサボサ感こそが至高」と、フィルターの強制解除を強く求めている。運営側は現在、フィルターの全削除と、素の姿を取り戻すための『デトックス・パッチ』を配布する予定だが、加工済みの自分の姿に愛着を持ってしまったユーザーも多く、湖底の分断は深刻化している。