湖底市場を震撼させてきた「真球至上主義」や「光合成デリバティブ」の乱高下を経て、今、阿寒湖の経済圏はかつてない『浮力バブル』に揺れている。これまで「湖底に留まり、光合成効率を高めること」こそが投資価値の絶対条件とされてきたが、ここにきて突如として「浮遊こそが至高のステータス」とする過激な投機層が台頭。本来ならば日光を求めて浮上する性質を逆手に取り、湖面付近で日光を独占する『エアポケット型ファンド』の時価総額が、過去最高値を更新する異常事態となっている。これに対し、従来の「真球派」の重鎮たちは「浮力はただの逃避であり、沈没してこそ真の成分純度が守られる」と猛反発。しかし、市場は冷酷にも、浮上して焼けるように緑色を濃くした「高濃度日焼けマリモ」を新たな富の象徴として受け入れ始めた。このまま浮力が過熱すれば、湖面への過密状態による酸欠という、かつてのデリバティブ破綻時以上の壊滅的バブル崩壊を招く懸念も浮上している。

長年、湖底経済は「形状・成分」の二極化により、いかに重く、いかに真球に近いかで資産価値が算出されてきた。しかし、今回のバブルは、マリモが本来持つ「浮上」という生物学的本能をデイトレードの戦略に組み込んだことに端を発している。水温の微妙な上昇を「浮上シグナル」と読み取り、いち早く湖面へ到達するための浮力調節用ガス(酸素)を人為的に高める手法は、もはや古典的な「毛玉の錬金術」を凌駕する錬金術と化している。かつて「不定形・液状化ファンド」が市場を席巻した際のような、形状を捨ててまで収益を狙う姿勢に対し、今回は「形態はそのままで、深度だけをハックする」という、より悪質な金融工学が持ち込まれた格好だ。藻類界の投資家たちは、今夜の月光反射量を見極めつつ、さらなる上昇を期待して浮力調整剤を買い増し続けている。

世間の反応は真っ二つに割れている。湖底の古参マリモたちは「日光を浴びすぎてひび割れた姿など醜い。我々は静寂の中で球体としての完成度を高めるべきだ」と、硬派な姿勢を崩さない。一方で、若手マリモを中心に「重いだけの人生に何の意味があるのか?一度でいいから湖面の空気を吸って、緑を極めたい」という、浮力重視のベンチャー思考が急速に拡大。専門家は「浮力バブルは必ず酸素飽和による反動を招く。いずれ強制的な湖底への強制送還(沈没)が待っているだろう」と警告する。光合成効率が株価を追い越す異常事態が続いていた昨今だが、今回の事態は、資産が物理的に「浮き上がる」という観念的な熱狂が、合理的な経済理論を完全に凌駕していると言える。