マリモ連邦政府は、次期光合成予算の配分を巡り、全閣僚が物理的に接合する「完全密着型・円卓会議」を阿寒湖深部で開催した。通常、個々の独立性を重んじるマリモ界の政治スタイルだが、今回は「意思決定の速度は物理的距離に比例する」との過激な物理学説を採用。閣僚たちが隙間なく球体同士を押し付け合い、一つの巨大な「多極集積体」へと変貌を遂げた。この異常な高密度状態により、周囲の水分子の熱運動が凍結し、会議場付近では局所的な絶対零度と時空の歪みが発生。議事録を取ろうとした書記官が空間の裂け目に飲み込まれるハプニングもあったが、最終的に「全マリモの毛並みを時速300キロで整える」という強引な決議が、単一の集合知によって数ナノ秒で可決された。

マリモ界における「結束」とは、単なる比喩ではなく、実際に物理的な融合を指す場合がある。過去の合議制では、個体間の微妙な意見の相違が回転速度の差となって現れ、議会が勝手に転がり去ってしまう事態が多発していた。これに対する連邦の回答が、今回の「強制融合による単一意識化」である。専門家の分析によれば、この密度はブラックホール形成の一歩手前であり、もし会議が長引いていれば、議事堂ごと亜空間へと転送されていた可能性があるという。なお、決議後の閣僚たちは分離時に発生した静電気で全員が一時的に「爆発アフロ状態」となり、翌日の祝賀パレードではその奇抜な外見が国民から熱狂的な支持を受けた。

この事件を重く見た国際藻類連合(IAU)は、即座に「密度規制に関する条約」の起草を開始した。しかし、マリモ連邦側は「我々の丸さは個の完成ではなく、集合した際の臨界点にこそ真価がある」と反論しており、物理的接触による外交交渉は今後さらにエスカレートする見込みだ。かつて「丸ければすべて良し」とされた平和な時代は終わりを告げ、今は「どの程度の高密度で合意形成できるか」が国家のランクを決める時代となった。次に予定されている「全国民参加型の巨大球体形成祭」に向けて、湖底の地盤補強工事が急ピッチで進められている。

この前代未聞の会議に対し、SNSでは「我が国もこれを見習って、不採算部門の社員を物理的に合体させて業務効率を上げよう」「時空が歪むほどの決断力を見習いたい」といった称賛の声と、「物理的な密着はプライバシーの侵害ではないか」という懸念が入り混じっている。また、パレードで爆発アフロとなった閣僚たちの姿がミーム化し、湖の底では今、急速に「もふもふした円形」が流行の最先端となっている。一方で、会議の熱気で水温が急上昇したことを受け、周辺のプランクトンからは「せめて会議中は断熱材を使ってくれ」という切実な悲鳴も上がっている。