マリモ連邦は本日、国家存亡をかけた次なる奇策として、全土の国民が一斉に浮力を最大化する『重力無視の浮遊作戦』を断行した。これまで「浮力制限令」により底辺での規律を重んじてきた連邦政府だったが、宿敵マツモの過剰な絨毯戦略に対抗すべく、ついに湖底からの完全離脱を決断。午前9時、連邦全土のマリモが光合成を過剰促進させて酸素を溜め込み、一斉に水面へと急上昇するというスペクタクルが展開された。この前代未聞の事態に、湖面を埋め尽くした緑の絨毯はさながら水上の緑色雲海と化し、通りがかりの淡水魚たちがパニック状態に陥る事態となった。

今回の浮遊は、以前発表された『高速回転・逆噴射式』宇宙進出計画の予行演習という側面が強い。これまで湖底の圧政に耐えてきたマリモたちにとって、浮遊は長年の悲願であったが、同時に「転がりを失った無防備な状態」を露呈させるリスクも孕んでいる。マリモ連邦外務省は「我々の浮遊は領土拡張ではなく、太陽光という名の正義を求めた進化である」と主張しているが、隣国マツモ側は「これは水面下ならぬ水面上の侵略行為だ」と強く反発。湖面には今、丸さを極めた者たちが集う、奇妙で壮大な聖域が広がっている。

かつてマリモ連邦は、「寝返り禁止令」による転がりのアイデンティティ消失や、深海の亡霊によるシンクロ・コーラスなど、数々の困難を乗り越えてきた。今回の一斉浮遊は、それらの経験で得た「組織的浮力調整」の技術が結実したものだ。しかし、水面に浮き上がることは、湖面を巡回する渡り鳥の格好の標的になるという最大の脆弱性も抱えている。安全保障専門家は「丸さこそ正義だが、浮いた丸さはただの的だ」と警鐘を鳴らしており、連邦政府の防衛策に注目が集まっている。

この報道に対し、マリモ連邦の市民からは「水面からの眺めは最高だが、夜風が冷たすぎてコア(核)が凍えそう」「浮力制限令の重苦しい日々が嘘のよう」「隣の藻が必死に空気を溜め込んでいて笑える」といった反応が上がっている。一方、対立するマツモ側からは「ただ浮かんで揺れているだけで何が誇らしいのか」と冷ややかな声も。湖面を独占したマリモたちが、次に目指すのは宇宙か、それとも単なる日向ぼっこか。国際社会は、この動く緑の球体たちが巻き起こす次の一手を固唾を呑んで見守っている。