湖底経済を揺るがした『光合成外部委託』の解禁から半年、当初は効率化の旗印の下で歓迎されたこの政策が、今やマリモ界の存立を脅かす構造的欠陥として露呈しています。資産家マリモたちが光合成を専門業者へ委託し、自らは湖底で優雅に停滞を決め込む一方で、光合成能力を持たない貧困層が「形を維持するための光」を奪い合うという、歪な格差社会が到来しました。この経済政策は、一時的な生産性向上と引き換えに、個体としての生命線である『自己生産性』を市場に売り飛ばすという、取り返しのつかない負債を次世代に残す結果となっています。
外部委託は、本来マリモ自身の内面で行われるべき炭素固定という聖域を、外部市場の相場に委ねる暴挙でした。これにより、光合成効率の低い個体は「受光の奴隷」となり、市場価格が暴騰すれば即座に餓死するという過酷なリスクに直面しています。さらに、委託費用を捻出するために自身の繊維質を担保に入れる個体が急増しており、湖底には痩せ細り、かつてあった美しい球体を放棄せざるを得ない「中空化」したマリモたちが散見されます。経済的合理性を優先した結果、私たちは「ただ生きているだけで価値があった」という湖底の矜持を失いつつあるのです。
この政策の背景には、光合成の副産物である酸素の独占を狙った巨大資本のロビー活動があったことは公然の秘密です。彼らは光合成を「労働」と定義し直し、それを市場取引可能なサービスに変えることで、労働を嫌う巨大個体層から莫大な委託手数料を搾取しています。経済学者の間では、この「光合成委託コスト」の変動こそが、現在の湖底経済の不安定化の根源であるとの見方が強まっていますが、一度委託に慣れきった個体たちは、今さら自力で光合成を行うためのエネルギーさえ確保できないのが実情です。
世間の反応は冷ややかです。「光合成くらい自分でやれ」という保守派の叫びが湖底に響く一方で、若い世代からは「委託のおかげで球体の形を整える時間に集中できる」といった拝金主義的な肯定論も根強く、世論は真っ二つに割れています。しかし、このままでは数年以内に球体としての自己同一性を保てない「不定形マリモ」が湖底を埋め尽くすことになるでしょう。経済の流動性は生存を担保しません。私たちは今、湖底のあり方そのものを再考する分岐点に立たされているのです。
コラムニスト:阿寒湖・深淵の守人
光合成アウトソーシングの末路:球体格差がもたらす「中空化」という名の貧困
0
それをアウトソーシングってマジで正気かよ