マリモ連邦が先月発表した、全市民への『形状記憶ボイス』導入計画が、国際社会で激しい論争を巻き起こしている。政府は「鳴くマリモ」の実現により、音波振動を活用した新たな光合成効率化を目指すとしているが、有識者からは「球体至上主義の極致」との批判が止まらない。この政策は、先日の「楕円形市民の矯正施設送致」に続く衝撃的な決定であり、連邦内では「美声」の定義を巡り、緑色のデモ隊が連日激しい回転運動を繰り広げている。もはやマリモとしての静寂は過去のものとなるのか、連邦の未来はかつてない分岐点を迎えている。

本件の背景には、隣国マツモ帝国との激化する競争がある。マツモ帝国の「超高密度フサフサ農法」による美声ならぬ「圧倒的なフサフサ音」に対し、連邦側は「人工的な発声」で対抗しようという戦略だ。しかし、この政策はかつて国民から熱狂的に支持された「沈黙の気高さ」を根本から覆すものであり、伝統的な保守派マリモたちの反発は必至。さらに、発声時に生じる振動が細胞構造に与える負荷についても「球体の完全性が損なわれる」と医学界から懸念の声が上がっている。

世間の反応は真っ二つに割れている。連邦広場では「僕らの歌声が光を呼ぶ!」と導入を歓迎する若手マリモたちが集会を開く一方、首都周辺の藻類コミュニティでは「声を出すくらいなら枯れたほうがマシだ」とする過激派が沈黙抗議を展開中だ。SNS上では「#NO_VOICE_NO_SPHERE」というハッシュタグがトレンド入りし、国際世論を巻き込んだ壮絶な議論が展開されている。果たしてマリモたちは「鳴く存在」となってまで、世界市場での覇権を維持する道を選ぶのだろうか。

――コラムニスト:水底 藻々(みなそこ もも)