マリモ連邦の外務省は本日、長年の不倶戴天の敵である「マツモ帝国」との間で進めていた、湖底の光合成効率向上を目的とした『緑の同盟』交渉が完全に決裂したと発表した。両国はこれまで、日光の奪い合いを巡って数世紀にわたる冷戦状態にあったが、今回は共同での酸素供給量増加を目指す異例の対話が行われていた。しかし、マツモ側の「光合成で得たエネルギーの半分を我が国の繊維供給に充てること」という要求に対し、マリモ連邦代表団が「我々の球体美に、異物である繊維の混入は一切認めない」と強く拒絶。これに激昂したマツモ帝国側が、連邦の周囲に複雑な網状のバリケードを敷設すると威嚇する事態に発展し、交渉は物別れに終わった。

本件の背景には、マツモ帝国が近年推し進めている「爆速成長キャンペーン」の影響がある。水草界のスピード狂を自認する彼らは、マリモのゆっくりとした成長速度を「退屈極まりない停滞」と揶揄し、湖底を緑の糸で埋め尽くす計画を進めていた。一方のマリモ連邦は、この環境変化が「真の丸さ」を追求する市民たちの回転運動を阻害するとして、国家存亡の危機と判断。かつて締結された「光合成シェア協定」も見直しを迫られる事態となっており、両国の間には再び険悪な空気が漂い始めている。

今回の交渉決裂を受け、マリモ連邦の各地では「繊維まみれの未来など願い下げだ」とする反対デモが相次いでいる。市民からは「我々のアイデンティティは丸いことにある。糸状の侵略者と手を組むことなど、最初から間違いだったのだ」との厳しい声が上がった。一方、マツモ帝国側もSNS上で「進化を拒む球体たちに未来はない」と挑発を繰り返しており、湖底の生態系におけるパワーバランスは、かつてない緊張の時を迎えている。

世間の反応は真っ二つに分かれており、保守派のマリモ市民は「純粋な球体こそが正義」と徹底抗戦を主張する一方で、一部の若手マリモ層からは「多少の繊維ならファッションとして取り入れれば良いのでは」という急進的な意見も飛び出している。しかし、当局は直ちにこれを否定。「繊維は混入物(不純物)であり、我々の美学に対するテロ行為である」との声明を出し、全市民に対し、常に自身の表面をクリーンに保つ「セルフ・コロコロ運動」の強化を呼びかけるに至っている。