マリモ連邦政府は本日、かねてより推進していた『球体形状からの脱却』および次世代の『流線型ボディ』への大規模改修が完了したと発表した。しかし、期待されていた空力性能の向上を遥かに超え、あまりの速度に周囲の時空が歪み、全市民が物理的な次元の壁を突き抜けてしまうという事態が発生している。これまでの『音速回転タイムトラベル』の研究成果が、流線型の形状と合わさったことで、予想外の加速を生んだことが原因と見られている。連邦議会は緊急声明を発し、「我々はもはや三次元の湖底に縛られる存在ではない。光合成と同時に、時空の並行世界を観光する権利を全ての市民に付与する」と、国家としての次元超越を宣言した。

本件は、過去に実施された『強制ハグ』への対抗策である超高圧ジェット噴射と、全市民が経験した『発光体への進化』という二つの技術革新が融合した結果である。これまでマリモたちは、ただ静かに沈殿することで平和を維持してきたが、近年は湖底という狭い領土に飽き足らず、宇宙空間や異次元への進出を加速させていた。特に、今回の流線型への改修は、かつて湖底を支配しようとしたウチダザリガニ軍団による『硬化剤』の脅威を物理的に回避するための自衛措置であったとされる。しかし、結果として物理法則を軽々と蹂躙することとなり、周辺の多次元宇宙からは「あまりに眩しく、かつ速すぎる緑色の物体が横切った」との苦情が多数寄せられている状況だ。

今回の進化に対し、生物学者からは「もはや植物なのか、あるいは光速を操る重力異常なのか判別不能」との戸惑いの声が上がっている。また、一部の過激なマリモたちは、流線型ボディを活かして、過去の自分たちに向けて「光合成の有給休暇を取っておけ」という警告メッセージを光の信号として送り続けており、時空連続体におけるタイムパラドックスが懸念されている。一方で、連邦政府はこれを「平和的侵略」と位置づけ、全宇宙の住民に対して「緑色の輝きとともに、休息と日光浴の素晴らしさを啓蒙する」という壮大な布教活動を計画中であるとのことだ。

街中の反応としては、変身した市民たちが「四次元での日光浴は、全方向から同時に直射日光を浴びるようで非常に効率が良い」と歓喜しており、湖底の古い価値観は完全に崩壊した。今やマリモ連邦のニュースは、言語を必要とせず、ただ光の明滅と回転する角度だけで意思疎通が図られている。かつて我々が愛した、あの動かない緑の塊はもういない。今はただ、銀河を高速で駆け抜ける緑の閃光として、宇宙の歴史にその名を刻もうとしている。