マリモ連邦の外務省は本日、宿敵であるマツモ帝国から「全個体を束ねて巨大な緑の塊に改造する」という前代未聞の『抱きつき友好条約』が提示されたことを発表した。かねてより、しなやかな枝葉を武器にマリモを絡め取るという侵略行為を繰り返してきたマツモ勢力だが、今回は軍事攻撃ではなく「外交」という名目で、マリモたちを強引に数珠繋ぎにするという、球体としての美学を根底から覆す暴挙に出た形だ。マリモ連邦の緑議会は緊急招集され、この「物理的束縛」を拒否する声明を出したものの、国境付近では既にマツモの細長い枝が、無防備なマリモたちを優しく、かつ逃げ場のないほどタイトに絡め取るというシュールな光景が広がっている。
本件の背景には、マツモ帝国の慢性的な「自立困難症」がある。マツモ側は「マリモの完璧な球体構造にあやかって、水流を効率よく利用したい」という身勝手な論理を展開。マリモを土台にして栄養を吸い上げる「寄生型同盟」を目論んでいる。かつてマリモ連邦が施した摩擦ゼロ・コーティングも、マツモの驚異的な粘着力の前では無力化しており、マリモたちは「個の矜持」を守るべく、必死に回転して解こうとするが、絡めば絡むほど複雑に編み込まれるという悪夢のような状況が続いている。生態学的には非常に珍しい、草と藻による「過剰密着型」の冷戦状態といえるだろう。
世間の反応は困惑と爆笑が入り混じっている。「もはやただの大きなサラダボウルじゃないか」「回転できなくなったらマリモじゃない」「マツモのストーカー気質が加速している」といった批判が殺到。一部の過激なマリモ派は「我々は球体であることにアイデンティティがある。マツモに埋め尽くされるくらいなら、いっそ湖面まで浮上して日光で焼き尽くすしかない」と強硬な姿勢を示しており、湖底の平和は風前の灯火となっている。
マリモ連邦政府は、国民であるマリモたちに対し「極力、直線の水流を避け、不規則な回転で絡まりを回避せよ」と通達。しかし、マツモ側の技術者たちは、より粘着性の高い新種を投入する準備を進めているという噂もあり、事態は長期化の様相を呈している。緑色の静かな湖底で繰り広げられる、史上最も「絡み合っている」外交戦争の行方に、世界中の藻類学者が注目している。
マツモ帝国、マリモ連邦に『極細繊維による抱きつき外交』を強要——湖底外交は未曾有の粘着地獄へ
0
マツモの図々しさが突き抜けてて笑う