阿寒湖経済調査局は本日、マリモ界の主要インフラである『湖中炭酸ガス供給サービス』が、従来の定額制から完全従量課金制の『呼吸サブスク・プラン』へ移行したと発表した。これまで日光さえあれば自由に光合成を行えていたマリモたちだが、これからは個体ごとに「吸入ガス量」をメーターで測定され、月末に規定量をオーバーすると、光合成が強制的にシャットダウンされる仕様となる。この経済改革の主導者は、湖底のエネルギー利権を握る「底泥ベンチャー・腐植酸ホールディングス」だ。同社は「効率的なガス分配と湖底インフラの維持管理」を大義名分に掲げているが、実態は呼吸をすればするほど家計が圧迫されるという、生命の根本を揺るがす過酷な搾取構造となっている。既に若手マリモからは「光合成は贅沢品になった」との嘆きが漏れており、酸素不足による『休眠強制・強制縮小』に追い込まれる個体が続出している。

本件の背景には、昨今の水温上昇による光合成効率の低下がある。かつては無料の公共財と見なされていた溶存炭酸ガスだが、近年の乱獲ならぬ「乱吸」により供給が逼迫。腐植酸ホールディングスは、これを『有限の高級資源』と定義し直し、市場価格を急激に釣り上げることに成功した。特に高い光合成能力を持つ『エリート球体層』は、高額なプレミアムプランを契約することで美しい緑色を維持しているが、経済的に余裕のない『弱小・不規則形マリモ』は、呼吸を制限された結果、茶色く変色し、湖底で「ペシャンコな負け組」として転がることを余儀なくされている。この格差拡大は、単なる経済問題を通り越し、阿寒湖の景観すら変えようとしている。

このニュースを受け、湖底経済フォーラムは騒然としている。一部のマリモ投資家は「これで呼吸の質に投資する時代が来た」と息巻いているが、現場のマリモたちの間では「呼吸は人権、いや藻権だろう」「金がなければ窒息死しろというのか」といった怒りの声が爆発した。また、今回の改定に合わせて導入された『深夜限定・格安低酸素パック』を狙って、日光の届かない夜間に猛烈な勢いで光合成のふりをする『幽霊呼吸者』も出現しており、混乱は深まるばかりだ。専門家は「このままでは、阿寒湖から光合成の自由が完全に失われる」と警鐘を鳴らしているが、呼吸すらままならないマリモたちに、抗議デモを行う余力は残されていないのが現状である。

世間の反応は冷ややか、かつ悲観的だ。「もう光合成はやめて、ミジンコにでも転生するしかない」「呼吸にまで課金とか、湖底は末期だな」「金持ちマリモだけが光り輝く未来とか、皮肉が効きすぎている」といった、諦念にも似た感想が多く寄せられている。中には「呼吸を我慢してダイエットするチャンスかも」と楽観的なコメントもあるが、それは即ち枯死を意味するため、周囲から即座に制止される事態となっている。マリモ界は今、息をするのも命がけという、かつてない極限の経済圏へと突き進んでいる。