阿寒湖の経済界を席巻している「いびつな形」こそが未来という新潮流に対し、古参の藻類経済学者たちから「あまりに無秩序な投機だ」との批判が噴出している。かつて真球度こそがマリモのステータスであり、最高級の価値基準であった時代から一転、現在ではわざと歪ませた「アンバランス型」が投資家たちの間で高値で取引されている。しかし、この流行はあくまで一時的なバブルに過ぎないと専門家は指摘する。整った球体こそが最も効率的に光合成を行い、湖底での安定した生活基盤を築くための唯一の正解であるという保守派の理論が、再び脚光を浴びつつある。
近年の市場では、効率性を無視した「いびつな形」への投資が過熱し、短期間での利回りを求める若手マリモたちがこぞって形状を崩している。しかし、これは長期的な生存リスクを無視した、非常に危険な経営判断と言わざるを得ない。真球体は転がりやすく、湖流に乗って広範囲の栄養を吸収できるという物理的優位性が、過去数百年の統計によって証明されているからだ。「個性的であれ」というスローガンに踊らされ、自らの物理的・生物的強みを捨て去ることは、実質的な「生存競争からの撤退」に他ならない。安定志向への回帰こそが、次世代の湖底経済を救う唯一の道であるとの主張が強まっている。
そもそも、現在の楕円ブームはAIが算出する「最適化された歪み」を鵜呑みにした結果であり、そこに伝統的な藻としての矜持は存在しない。かつては数十年かけて形成された美しい球体が、現在では短期間の化学肥料投入による「急造の楕円体」にとって代わられ、その価値の劣化が懸念されている。このままでは、阿寒湖のブランド価値そのものが損なわれ、外来の浮草たちに市場を奪われるリスクさえ孕んでいる。かつての真球至上主義が「退屈だ」と揶揄される現代だからこそ、あえて原点に立ち返り、球体という最も完成された形状の価値を再評価すべき時が来ているのではないか。
この急進的な形状変化に対して、湖底の有識者会議からは「形状の多様性は資産価値の分散化に寄与する」との反論もあるが、大半の個体は「結局、隣のマリモが真球だと不安になる」というのが本音のようだ。今、真球派と楕円派の対立は、阿寒湖の経済政策を二分する深刻な問題へと発展している。かつての優美な回転運動を忘れ、いびつな形で止まり続けるリスクを負うか、あるいは古典的な真球を目指して長い修行に耐えるか。マリモたちは今、その経済的運命を選択する瀬戸際に立たされているのである。(コラムニスト:球体至上主義者・丸山藻一郎)
「真球こそ正義」への揺り戻し、楕円ブームの崩壊に警鐘を鳴らす
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時代は常に変わり続けるものさ