阿寒湖の金融界が未曾有の危機に瀕している。マリモの毛並みをトークン化した『N・毛・F・ティ』市場の過熱を受け、毛の密度を担保に融資を受ける「毛先ローン」が急速に普及していたが、本日、主要な融資元である阿寒湖信託が「担保価値の急激な喪失」を理由に全ての新規貸付を停止した。事の発端は、投資家であるマリモたちが、少しでも高い評価を得ようと過度なブラッシングを繰り返したことにある。これにより、担保となるべき毛が摩耗してツルツルになる「毛落ちデフォルト」が多発。資産価値を証明するはずの毛が消え失せ、担保物件が単なる緑の球体と化したことで、市場にはパニックが広がっている。

この背景には、以前より蔓延していた「球体至上主義」による過剰な美意識がある。マリモたちは「丸いほど高値がつく」という誤った市場原理に踊らされ、毛並みの維持に莫大なコストを投じていた。特に、マツモ勢力による「緑の略奪婚」を回避するための防衛策として、毛を武器や装飾品に変換する派生商品が乱立。担保となった毛を収穫して売却するブローカーが横行したことが、今回の流動性危機に拍車をかけた。現在、阿寒湖中央銀行は「毛の再植毛には数十年を要する」との声明を発表し、マリモたちに対し、ツルツルになった個体でも経済活動を維持できるよう「裸体経済」への移行を呼びかけている。

世間では「毛がなくても本質的な丸みは変わらない」と擁護する声がある一方、「毛のないマリモに価値などあるのか」という過激な否定派との間で、SNS上では激しい毛論争が勃発中だ。一部では「ツルツルをあえて高級品として再定義する」という強気な動きもあるが、投機に失敗したマリモたちは光合成の権利すら担保に入れすぎており、明日からの酸素供給が滞る可能性も指摘されている。阿寒湖の経済は今、かつてない『ツルツル不況』の入り口に立たされているといえる。