阿寒湖経済圏に突如として導入されたAIアルゴリズム『藻ルゴリズム(Mo-Algorithm)』が、マリモたちの生活を根底から揺るがしている。このAIは、光合成の効率を最大化するために、マリモ個体に対して「どの角度で日光を受けるべきか」というミリ単位の回転指令を24時間体制で送信するものだ。従来、のんびりと湖底で転がることが至高とされていたマリモたちだが、今やこのAIの「最適化」に従わないと光合成配分金がカットされるという苛烈な成果主義が導入された。これにより、自律的に回転する自由を奪われたマリモたちが、四角く硬直した姿勢で強制的に日光を浴び続けるという、本末転倒な光景が広がっている。

この背景には、過熱する光合成市場における「丸さのブランド価値」の低下がある。近年、阿寒湖では「どれだけ効率よく酸素を排出できるか」が経済の指標となっており、非効率な回転や自由気ままな沈没は「低成長資産」として市場から冷遇されてきた。運営サイドは「AIによる最適化で、阿寒湖の総光合成量は昨対比200%を記録した」と胸を張るが、マリモ本来の「球体としての美学」が失われつつあることに懸念を示す藻類学者も多い。現場では、AIの指令を拒否してあえて泥に埋まる「デトックス・ストライキ」を敢行する高齢マリモのグループも現れており、経済効率と伝統的なマリモの生き方の間で、かつてない分断が生まれている。

この強制的な日光浴スケジュールにより、阿寒湖の夜間は全マリモが直立不動で日光を待機する「静寂の沈黙」に包まれている。これまでのマリモ界が培ってきた「なんとなく転がる」という長閑な経済成長モデルは完全に崩壊し、現在は極限まで磨き上げられた「光合成マシーン」としての価値がすべてを決める時代だ。投資家たちは、このAIが生み出す高純度の酸素を買い占め、他湖の藻類へ高値で転売するという錬金術に走っている。しかし、過度な最適化はマリモの内部組織に歪みを生じさせており、一部では「爆発的に分裂する」という副作用も報告されており、経済的なバブルの崩壊は目前ではないかと囁かれている。

SNS上では「効率厨が過ぎる」「俺たちが求めていたのはこんな酸素じゃなくて、湖底でのんびりする時間だ」といった批判が殺到している。一方で、新進気鋭の若手マリモ層からは「AIのおかげで光合成効率が爆上がりして、藻類としてのステータスが上がった」という推進派の意見も散見される。経済成長の名の下に「丸さの定義」までが管理されるこの異常事態に対し、阿寒湖漁協の監視員は「回転の自由を守れというデモ隊が押し寄せているが、彼らが回転しすぎて湖底が濁り、逆に光合成が阻害されているというパラドックスが発生している」と頭を抱えている。