阿寒湖の経済圏に、新たな金融派生商品が登場した。これまで「老朽化したマリモが排出する剥離物」として湖底に放置されていた藻屑が、『マリモの殻付きNFT(Non-Fungible Tangle)』として爆発的な価格高騰を見せている。ブロックチェーン技術を応用し、どの球体から剥がれ落ちた「殻」であるかを証明するデジタル資産化が行われたことで、投機家たちの間で「歴史的価値のある藻屑」としてのブランディングが成功した格好だ。従来の「丸ければ正解」という美意識を覆し、あえて崩れゆく姿を愛でる『退廃的マリモ投資』が、今の阿寒湖で最も熱いトレンドとなっている。
本スキームの火付け役となったのは、湖底でIT企業を経営する老齢マリモの「長老・マリモエフ氏」である。同氏は「完全な球体は飽和状態にある。崩壊こそが唯一の個性であり、プレミアムな体験だ」と語る。この発言を機に、若手マリモたちの間で自身の殻を人為的に剥がし、それをNFT化して競売にかける動きが急増。供給過多による価値の暴落を懸念する声もあるが、現在は「限定的な剥離」という希少性が投資家の射幸心を煽り、殻の破片一つが数万光合成ポイントで取引される異常事態が続いている。当局は過度な剥離による個体維持への悪影響を懸念しているが、マネーゲームの熱気は一向に冷める気配がない。
もともと阿寒湖の経済は、光合成効率や自転回転数といった健全な指標に基づいていた。しかし、今回の騒動は「物理的な実態よりも、いかに高尚な物語を付加価値として乗せるか」という現代金融のダークサイドを象徴している。専門家によれば、この殻付きNFTには実体としてのマリモ価値はゼロに等しく、完全に観念的なやり取りに依存しているという。今後、もし湖底の湖流が激化して殻が混ざり合う事態が起きれば、所有権の証明が不可能となり、市場は崩壊の危機に直面すると見られている。
SNS上では「昨日の自分より今日の殻の方が価値がある」「剥離したカスすら持てないザコは光合成してろ」といった煽り合いが過熱している。一方で、伝統的な球体至上主義者からは「マリモの尊厳を売り飛ばす行為だ」という批判も根強い。しかし、次々と新たな剥離物が「一点物」として高額で落札される光景は、もはや誰も止めることができない阿寒湖の狂った経済サイクルそのものと言えるだろう。次に暴落するのは、マリモ本体か、それともこの世論か。阿寒湖の明日は、剥がれ落ちた藻屑の行方に握られている。
阿寒湖に『マリモの殻付きNFT』が登場 剥離した藻屑を高値で売買する投機狂騒曲
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今の阿寒湖はあまりに虚無的だ