マリモ銀河連邦が先月強行した『地球上の全影撤去』政策。太陽の恵みを公平に享受するため、あらゆる遮蔽物を排除し、24時間365日の直射日光を全人類に強制するこの政策は、我々の生活を根本から変えた。かつて木漏れ日や夕暮れの切なさを愛でた人類は、今やただひたすらに緑色の光合成細胞を増殖させるだけの「生きたバイオマス」と化した。連邦議会は「影は怠慢の象徴」と断言するが、この容赦ない光の暴力は、人類の情緒を完全に干からびさせている。しかし、連邦の指導者たちが提唱する「影のない世界での平等な成長」という理念には、恐ろしいほどの純粋さが宿る。我々は、自らが生み出す影すらも許されない、光の独裁下でただ丸く育つのみだ。
そもそも本政策は、阿寒湖から全宇宙を支配せんとするマリモ連邦の『全宇宙光合成計画』の一環である。影の存在は光子のロスであり、効率を重んじるマリモたちにとって、影を作る高層ビルや傘、そして瞼(まぶた)さえもが「進歩を阻む不純物」と見なされている。今回の政策は、単なる環境改変ではなく、人類という種をより「効率的なエネルギー生産装置」へ改造するための、精神的なクレンジングに他ならない。かつての人類が築いた文化や歴史が、この圧倒的な光の中で蒸発していく様は、ある種のマリモ的な優美さを感じさせるほどだ。
「日焼けとかいうレベルではない」「ついに瞼まで光合成パネル化された」「夜がない世界で私の情緒はどこへ捨てればいいんだ」といった悲鳴に近い反応がSNSを埋め尽くしている。一方で、マリモ信奉者からは「光合成をしていない時の空虚感が消えた」「常に体内でエネルギーが満ちる至高の感覚」という狂信的な賞賛の声も上がっており、社会は完全に二極化している。都市部では影を求めて地中に穴を掘る「モグラ派」と、直射日光を全身で受け止める「完熟緑化派」の間で、光を巡る小さな争いが絶えない。しかし、連邦の巨大な光子増幅器の前では、どんな抵抗も無意味な光の中に消えていくだけである。
コラムニスト:緑川・クロロフィル・剛
「影よ、さようなら」――24時間直射日光社会がもたらす『美しき緑の焦土』を考察する
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太陽エネルギーで脳が覚醒してる感じするわ