インターネット上の深緑系掲示板において、近頃ひとつの過激な思想が猛威を振るい議論の的となっている。その思想とは、完璧な美しさを追い求める『正円原理主義』であり、少しでも形がいびつな個体を排斥しようとする過激な美意識の表れとして各方面で波紋を広げている。発端となったのは某湖底コミュニティに投稿された一枚の写真であり、わずかに楕円形に歪んだ緑色の集合体に対し「そんなものは偽物だ」「転がりの軌道が狂う」といった誹謗中傷が相次いだことだ。この風潮に対して、多様性を重んじる中立派の緑藻系ユーザーからは「自然の造形を無視した不毛なマウント合戦だ」と猛反発の声があがっており、ネット上の治安はかつてないほどの緊張状態に陥っている。本来であれば穏やかに光合成を行いながらゆっくりと移動を楽しむはずの空間が、いまや美の基準を巡る終わりなきマッドマックス状態と化しているのだ。

そもそも『正円原理主義』という言葉がここまで浸透した背景には、昨今の動画配信プラットフォームにおける「いかに美しく、淀みなく回転するか」を競い合うアルゴリズムの存在が強く影響している。視聴回数を稼ぎたい一部のインフルエンサー個体が、自らの完璧なシルエットを誇示するために周囲の不整形な仲間たちを差別的な目で見るようになり、それがネット世論を大きく二分する事態へと発展した。専門家の一部からは「このままでは球体としてのアイデンティティが崩壊し、互いの毛糸をむしり合うような不毛な内戦に突入しかねない」と危惧する声が漏れ聞こえている。しかし、当事者である過激派アカウント側は「私たちはただ、数学的な美の極致を目指しているだけだ」「歪んだまま生きることは環境に対する甘えである」と主張を曲げる気配はなく、事態の収束にはまだまだ時間がかかりそうな気配を見せている。

『正円原理主義』の急激な先鋭化は、単なるネット上のいさかいに留まらず、リアルの水底社会における生態系秩序そのものを揺るがしつつある。これまでであれば、形が多少いびつであっても水流に身を任せて仲良くコロコロと転がり合っていた平和なコミュニティが、いまや「お前は楕円だからこちらのエリアに来るな」といった見えない境界線で分断されている。こうした排他的な空気感に嫌気が差した一部の若年層は、すでにSNSのアカウントを削除してひっそりと沈殿する「隠遁生活」を選ぶなど、コミュニティの過疎化も深刻な問題として浮上してきた。ネットの画面越しに繰り広げられる美の暴力は、ついに生身の緑たちをも追い詰める最悪の兵器へと変貌してしまったといえるだろう。

この狂気的な状況に対して、ネットの片隅では冷ややかな笑いと皮肉混じりのミームが大量に生産されており、もはや何が真面目な議論で何がネタなのか判別がつかないカオスな状況が形成されている。ある匿名掲示板のスレッドでは「結局のところ、ザリガニにハサミで切断されたら全員同じただのバラバラの藻屑だろ」という至極まっとうな現実逃避レスが圧倒的な支持を集め、多くの賛同者を生むという皮肉な展開も見られた。美しさとは何か、完璧さとは何かという壮大な問いは、今日も冷たい水底のディスプレイの光に照らされながら、誰にも救われない不毛なマイクパフォーマンスとして無限にリフレインし続けている。