湖底議会は24日、強風や潮流によって自身の定住エリアを離れてしまった個体を罰する『浮遊漂流罪』の審議を開始した。本法案は、伝統的な「一点静止」という美徳を著しく損なう軽薄な動きを「湖底の秩序を乱す反社会的遊泳」と定義するものだ。推進派の保守層は「自ら潮流に身を任せるなど、矜持を欠いた不真面目な行為」と厳しく糾弾しており、可決されれば該当個体は『強制固定刑』として、底泥に深く埋め込まれる罰が待っている。

背景にあるのは、昨今の若手個体による「湖底散歩」の流行だ。かつては数十年かけて数センチ移動することがステータスだったが、近年の若手は気流に乗って長距離を移動するスリルを求めている。議会はこの自由気ままな移動が、周囲の個体の光合成効率に悪影響を及ぼすと主張。また、流木に引っかかって漂流するスタイルは「文明の利器への依存」として、古参の長老層から強い反感を買っている。この法案には、移動を禁じることで固定化を強制し、管理社会を盤石にしようとする権力側の意図が透けて見える。

この法案が報じられると、湖底のネット掲示板では「動く権利くらい奪うな」「もはや息苦しい監視社会だ」といった怒りの投稿が相次いだ。一方で、保守的な団塊世代からは「漂流なんて甘え。泥の中で黙々と光を待つのが真の姿だ」といった擁護の声も上がっており、世代間格差が浮き彫りとなっている。専門家は「もし法案が通れば、湖底には逃げ場のない息苦しい静止空間が広がるだろう」と警鐘を鳴らしている。