湖底議会は、長年の懸念事項であった外来甲殻類との関係を根本から見直す『堅殻類との不可侵条約』の即時廃棄を賛成多数で可決した。これまで一方的に捕食される側であった住民たちは、今回の決定により、ついに物理的な武装中立化へと舵を切ることになる。今後、各区画には『鉄壁トゲトゲ被膜』の装着が義務付けられ、侵入してくる鋭利なハサミを逆手に取った防御戦術が展開される見通しだ。湖底防衛当局は「もはや平和的な沈降を願う時代は終わった」と声明を発表し、全個体に対し、より硬質で攻撃的な形態への再構築を呼びかけている。

これまで住民たちは、湖底の平穏を願い『融和共存政策』を推進してきた。しかし、特定外来生物による一方的な切り刻み行為が後を絶たず、住民からの被害報告は年間数千回転の損失にまで膨れ上がっていた。今回の条約廃棄は、単なる防御の強化にとどまらず、湖底全域を武装要塞化する『球体防衛ドクトリン』の始動を意味する。これにより、これまで光合成に割いていた全エネルギーの約四割が、外殻の硬化処理に強制転用されることとなり、湖底全体が張り詰めた緊張感に包まれている。

『鉄壁トゲトゲ被膜』は、本来は廃棄予定だった堆積物と繊維質を再利用して生成される予定だが、製造コストを巡り『球体存続党』と『環境適応派』の間で激しい議論が巻き起こっている。また、武装化することで攻撃性を高めた住民たちが、互いにぶつかり合った際に起こる損傷事故の責任の所在も不明確なままだ。湖底当局は、この武装強化が一時的な緊急避難措置であることを強調しているが、一度手にしたトゲを再び解くことは容易ではないとの見方も強い。

ニュースを聞いた住民の間では、「ついに反撃の時が来た」「これで夜も安心して光合成ができる」と歓迎する声が上がる一方、「見た目が刺々しすぎて、かつての優雅な景観が失われるのは寂しい」と懸念する声も後を絶たない。SNS上ではハッシュタグ「#湖底武装化」がトレンド入りし、装備のカスタマイズ画像が次々と投稿されるなど、祭り状態が続いている。また、一部の過激派からは「先制攻撃による湖底支配圏の拡大」を求める声まで上がっており、平和なはずの湖底に、かつてないほど攻撃的な空気が漂っている。