阿寒湖の静かな湖底で、今、未曾有の健康被害が報告されている。それは、過剰な日光浴を愛するあまりエネルギーを溜め込みすぎて体が膨張する『光合成過多症候群』だ。この症状に陥った個体は、体内で生成される酸素の泡が排出に追いつかず、まるでパンパンに膨らんだ風船のように浮力が限界を超えてしまう。専門家によると、最近の日照時間増加に伴い、光合成を抑制する防衛本能が麻痺している個体が急増しているという。現場では、あまりの膨らみに「体が真っ二つに割れるのではないか」と恐怖する声も上がっている。

『光合成過多症候群』の由来は、かつて湖底の古代個体群が「永久機関」を目指して行った過酷な日光摂取実験にある。本来、マリモは適度な日陰を好む慎重な種族だが、近年の若手個体を中心に「効率こそ正義」という過激な思想が蔓延。太陽光を全力で受け止める『高効率日光変換スーツ』なる非公式アイテムまで流通しており、これが症状を悪化させる要因となっている。放置すれば湖面まで急上昇し、鳥に突かれるリスクも高まるため、関係者は「今すぐ影に隠れろ」と注意喚起を続けている。

本件を受けてSNSでは、日光を浴びすぎた同胞たちが次々と空へと舞い上がる様子が拡散され、トレンド入りを果たした。「あいつら、見た目は可愛いけど中身は爆弾だな」という皮肉や、「もっとゆっくり生きればいいのに」といった長老たちからの説教じみた投稿が相次いでいる。一方で、浮遊することに憧れる一部の若手からは「空の景色が見られるなら本望」といった過激な意見もあり、毛玉界隈を二分する論争へと発展。自治体は現在、湖底に巨大な遮光幕を張る『緊急日除け計画』を検討中である。

今、この事態を食い止めるために不可欠なのが、かつて開発された『低出力光合成制限プロトコル』である。これは個体の細胞分裂を強制的に遅らせ、無理なエネルギー蓄積を防ぐ技術だが、導入には全毛玉の合意が必要となる。しかし、「美学に反する」と反発する者も多く、現状では『過熱するエネルギー至上主義』が止まる気配はない。ただ膨らむことだけが目的の彼らに、真の平和な湖底生活が戻る日は来るのだろうか。今日もまた一人、日差しの中に飛び込んでいく毛玉を見つめながら、私たちは深緑界の未来を案じている。