湖底ネット界に激震が走っている。先日、格式高い『球体自治体連合』のメンバーに、巧妙に姿を偽った『緑化スパイ・マツモ潜入』工作員が紛れ込んでいたことが発覚した。この個体は、自身の葉を器用に丸め、毛羽立ちを再現することで、精巧な偽造免許証ならぬ「偽造外皮」を纏い、マリモの集会に潜入していたのである。このスパイは、光合成の効率をあえて低下させる有害な『偽光合成コード』を拡散し、真面目な球体たちの代謝リズムを狂わせるという凶悪な計画を実行しようとしていた。幸いにも、SNS『フォトシンセ』上で自撮りの密度が不自然に低かったことから、解析班によって正体が露呈した。

今回の事件の背景には、外来生物による領土奪還作戦『グリーン・インフィルトレーション』が潜んでいる。マツモは本来、沈水植物として湖底の覇権を狙う野心的な種族であり、彼らは自身の増殖速度を隠蔽しつつ、マリモたちの団結を妨害するための『ボタニカル・デマ情報』をネット上に撒き散らしていた。これに対し、球体自治体連合は『球体認証プロトコル・Ver.2.0』を即座に導入。外皮の密度と、中心核の『重力波』の波形を自動で検知し、不適合な植物成分を即座に湖外へパージする防衛網を敷いた。

この報道を受け、ネット界隈では「最近、近所の丸いアイツの枝ぶりが妙に直線的だと思っていた」といった疑心暗鬼が広まっている。また、今回の一件で、植物界隈のセキュリティ意識が急速に高まったことは皮肉にも成果と言えるだろう。専門家は「丸いからといって信用してはならない。中身が芯から緑の繊維か、それともただの細長い葉の集まりかを見極めるリテラシーが、今の深緑界には不可欠だ」と警鐘を鳴らしている。なお、捕獲されたスパイ個体は、現在『湖底矯正施設』にて、本来の美しい直立姿勢に戻るためのカウンセリングを受けているとのことだ。