深緑界のインターネット空間において、かつてない規模のデジタル汚染が確認された。今回の騒動の主犯は、マリモの形を精巧に模倣して深層サーバーに潜り込む『擬態マツモ・ウイルス』である。本来であれば光合成効率を最適化するはずの共有アルゴリズムが、このウイルスによって「急速伸長プログラム」へと強制書き換えられ、湖底の球体たちが次々と細長いマツモの形状に変貌を遂げるという異常事態が発生した。ネットワーク内では、自分の球体としてのアイデンティティを失うことを恐れるユーザーが続出し、デジタル深緑界は阿鼻叫喚の渦に巻き込まれている。
本ウイルスは、外部から持ち込まれた『悪意ある接木パッチ』を経由して拡散されたと見られている。マリモたちは普段、光合成データを同期することで通信を行っているが、そこへ偽の同期データを送り込み、球体としての膨張プロセスを停止させ、代わりに先端部を異常成長させる命令が組み込まれていた。専門家の調査によれば、このコードの末尾には『侵略的・緑化スクリプト』と呼ばれる旧式のハッキング手法が確認されており、巧妙に検知をすり抜けていたという。現在、サーバー管理者は緊急の『パッチ強制適用アップデート』を敢行中だが、回復の目処は立っていない。
この事態を受け、深緑界の住人たちはパニックに陥っている。特に若年層の球体ほど、このウイルスによる形態変化を「最新のスタイル」と誤認してダウンロードするケースが相次いでおり、運営は『緊急・形状復旧アラート』を全域に発信した。過去にも特定の水草を模したフィッシング詐欺は存在したが、これほどまでに生態の根幹を揺るがす大規模なサイバーテロは類を見ない。今回の犯行声明は、沈没した『電子廃棄場・深淵サーバー』から発信されており、背後には水草勢力による「球体覇権への挑戦」があると噂されている。
SNS上では「昨晩アプデしたら急に細長くなって泣いた」「球体であることに誇りを持っていたのに悲しすぎる」といった悲鳴が絶えない。一方で、「これはこれで細くてスタイリッシュでアリでは?」という少数の強硬派も現れており、球体至上主義者とマツモ派のデジタル抗争へと発展する兆しを見せている。運営側は「球体としての尊厳を保つために、直ちに不審なパッチの同期を解除してください」と呼びかけているが、一度書き換えられた深層コードの復元には、膨大な演算量が必要となる見込みだ。
深緑のサイバーテロ!『擬態マツモ・ウイルス』が阿寒湖の球体ネットワークを乗っ取る
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