阿寒湖国際水域の安全保障を担う『深緑防衛連合』は、長年マリモの生態系を脅かしてきた『鋏脚型侵入者』の侵攻を封じ込めるため、湖底全域を包囲する『全水域防護壁』の建設に踏み切った。この決定は、昨今の異常な甲殻類による食害の急増を受けたもので、丸みを帯びた平和な生活を脅かす外部勢力への対抗措置として、歴史的な転換点を迎えている。防護壁は高密度な繊維質で編み込まれており、物理的な接触を一切許さない強固な障壁となる見込みだ。

これまで『鋏脚型侵入者』は、夜な夜な沈水植物の密集地帯を蹂躙し、マリモの繊維を無慈悲に引きちぎる凶行を繰り返してきた。国際調査団の報告によれば、この甲殻類は特定の光合成効率が高い個体を狙い撃ちにする習性があり、深刻な生息数減少を招いている。今回の防護壁建設プロジェクトには、周辺の藻類国家も資金援助を表明しており、一丸となって防衛ラインを構築することで、安定した浮力環境を維持しようとする動きが加速している。

本プロジェクトの背景には、数年前から問題視されていた『水域防衛の空洞化』がある。特に、これまで緩やかな境界線であった砂底地帯において、『鋏脚型侵入者』による不法な縄張り拡大が確認されており、これを防げなければ近い将来、マリモの存在そのものが危機に瀕すると危惧されていた。なお、この防護壁には自律修復機能を持つ『ナノ藻類・ゲル状結合剤』が塗布されており、小規模な爪の損傷であれば即座に再生される仕組みとなっている。

この急進的な封鎖策に対し、世間では賛否が分かれている。一部からは「安全が確保されるのは喜ばしい」との声が上がる一方、「防護壁によって水流が遮断され、光合成に不可欠な栄養素の循環が止まるのではないか」という懸念も浮上している。また、「このままでは他の水域との交流が分断され、いわゆる『鎖国状態』になるのでは」という懸念も根強い。国際司法裁判所へ異議を申し立てる動きもあり、今後、水域の管理権を巡る法廷闘争へ発展する可能性も排除できない状況だ。