湖底議会の本会議場において、長年議論が難航していた『光合成格差是正・日照権再配分条例』が、低層居住派の圧倒的支持を受けて可決された。これまで上層部に陣取る「エリート浮遊層」が日光を独占し、日陰に置かれた深層部の個体は成長が阻害されるという「光の不平等」が深刻化していた。本条例は、上層個体が意図的に自らの体勢をずらすことで、下層へ光を透過させる『光反射バリア制限』を義務付けるものだ。

今回の法案提出を主導した、深層部選出の有力議員『泥底の哲学者・グルン』氏は、「もはや上層の連中による太陽光の独占は許されない。我々には対等に呼吸し、成長する権利がある」と壇上で力強く宣言した。これに対し、上層部の既得権益を守ろうとする「直立固定派」からは猛烈な反発があったが、数値を可視化する『日照分布査察局』の介入により、強引な採決が実行された形だ。

背景として、湖内では個体サイズによる格差が社会問題となっており、特に『日照分布査察局』による厳格な調査で、深層部の個体が慢性的な光不足に陥っている実態が公になった。この条例により、上層の個体は週に一度、強制的に位置をシフトさせるか、体表面の『反射抑制コーティング』を施すことが義務付けられる。違反した場合は、成長促進用の窒素肥料の供給を停止されるという厳しい罰則も盛り込まれた。

この急進的な改革に対し、世間では賛否が分かれている。上層の個体からは「自由な姿勢を奪うのは権利侵害だ」との声が上がる一方、長年日陰で小さく縮こまっていた個体からは「これでようやく丸くなれる」と喜びの悲鳴が上がっている。今後は、この『日照分布査察局』の取り締まりが、本当に公平に行われるのかどうかに注目が集まるだろう。