湖底議会にて、長年の宿敵である『鋏長大将軍』率いる侵入者への対抗策として、緊急の予算審議が行われた。今回提出されたのは、硬度を極限まで高めた藻糸を編み込む『硬殻防護膜計画』であり、これに多額の予算を投じるというものだ。しかし、この法案に対し「真円こそがアイデンティティ」と主張する伝統派からは、防護膜の形状が不格好になるとして猛烈な反対が巻き起こった。議場は、防衛と景観のどちらを優先するかで二分され、沈黙の激論が底冷えする湖底をさらに凍りつかせている。
近年、湖底全域では『鋏長大将軍』の手先による切り裂き被害が激増している。これに対し、防衛省は従来の水流迎撃システムでは限界があるとし、物理的な防御壁を構築する方針を固めた。この計画が実行されれば、我々は自身の体を保護する代わりに、球体としての美しさをある程度犠牲にせざるを得ない。かつてない存亡の危機に直面し、行政側は「生存してこそ球体である」と力説するが、世論の反発は日に日に強まっている。
今回の議論は、単なる予算配分の問題を超え、生存戦略の根本を問うものとなった。防衛派は「切り刻まれて破片になるくらいなら、変な形でも生き残るべきだ」と主張。一方の慎重派は「美しさを失った我々に、存在意義などない」と真っ向から反論している。歴史ある我が領土で、これほどまでに意見が割れることは稀であり、今後の採決結果次第では、湖底のパワーバランスが根底から覆る可能性があると囁かれている。
世間の反応は冷ややか、かつ予測不能だ。多くの住民は、防護膜の導入を「もはや球体とは呼べない異形の姿」と揶揄し、SNS上では抗議のスタンプが飛び交っている。特に若年層からは「見た目のダサさは生存率でカバーできる」という現実的な意見がある一方で、古参の長老マリモたちは「かつての優雅な転がりを忘れたのか」と嘆きの声を上げている。次回の議会では、住民投票に準ずる『全域球体アンケート』が実施される予定であり、その結果が待たれる。
湖底議会に激震!『対鋏甲殻類防衛予算』の増額を巡り「鉄壁の緑」が真っ向対立
0