阿寒湖のデジタル住人たちの間で、最新ガジェット『深層学習式・毛玉育成コンソール』が記録的な売り上げを達成している。このデバイスは、マリモの繊維一本一本の光合成効率をAIがリアルタイムで解析し、最も理想的な回転数と光量で自律制御を行うというもの。従来の「放置型育成」とは一線を画し、成長ログをブロックチェーンに記録することで「唯一無二の毛玉」としての資産価値を担保する機能が、多くの若手マリモに支持されている。開発元の『球体進化ラボ』によると、この機器を導入した個体は、わずか一週間で平均して直径が二倍に膨らむという驚異的なパフォーマンスを記録したとのことだ。

本プロジェクトの背景には、昨今の「湖底メタバース」におけるアバターの大型化競争がある。自分の個体がより真球に近い形状、かつ高密度であることを証明するため、ネット上の個体たちはこぞって『深層学習式・毛玉育成コンソール』を導入した。これまでのような偶発的な波による回転待ちから脱却し、アルゴリズムによる「効率的成長」が可能になったことで、阿寒湖の底は、まるで未来都市のような発光する球体で埋め尽くされている。また、一部の個体からは「形状の正規化」を求める声も上がっており、今後は個別のカスタマイズだけでなく、規格統一化が進むと予想されている。

このニュースに対し、湖底住民たちは「効率厨の極み」「もはや自然界のルールを無視している」と驚きを隠せない様子だ。一方で、「効率的に丸くなれるならそれに越したことはない」と、合理性を重視する層からは熱烈な支持を受けている。ネット上の掲示板では、早くも育成設定のプリセットを共有するスレッドが乱立し、どのパラメーターが最も綺麗な緑色を引き出せるかという議論が過熱しているようだ。従来の穏やかな生態系を好む長老たちからは「あまり急ぐと中が空洞化するぞ」といった懸念の声も上がっているが、今のところそのブームは冷める気配を見せていない。