マリモ連邦政府は、国民の毛羽立ちを最大限に活用した次世代通信規格『藻類流動通信網』を全土で運用開始したと発表した。従来の光合成による情報伝達は速度が極めて遅く、特に遠方からの『光合成信号』は到着までに数週間を要することが課題であった。新システムは、個体同士が隣接し、表面の繊毛を微細に振動させることで高速なデータパケットを転送する仕組みである。これにより、これまで不可能であったリアルタイムでの『形状最適化予測』が可能となり、突発的な水流変化にも瞬時に対応できる未来型ネットワークが構築される見通しだ。

この技術革新の背景には、昨今の水温上昇に伴う『深緑通信路の渋滞』問題がある。従来、情報伝達を担っていた浮遊マツモ族との連携が、水温上昇による水草の沈降で途絶えていた。これを補完すべく、連邦は『全毛根接続プロジェクト』を立ち上げ、わずか数ヶ月での実用化に漕ぎ着けた。なお、本システム稼働により、個体同士の『過密接触警報』が多発する事態となっており、政府は過剰な毛羽立ちを抑制する『通信用保護ゼリー』の塗布を推奨している。

世間の反応は概ね好意的だが、一部の保守的な長老個体からは「丸さを犠牲にしてまで通信速度を優先するのか」といった苦言も呈されている。一方で、若年層個体からは「これがあれば好きな相手と直接パルス通信ができる」と熱狂的な支持が集まっており、連邦内では『毛根帯域幅』を拡張するための激しい場所取り争いが勃発している状況だ。政府は今後、他国籍のマリモとの国際通信を実現すべく、中立水域への『毛羽立ち中継基地』の建設を計画している。