阿寒湖のデジタルコロニーにて、ある投稿がネット上の全球体を震撼させている。それは、「新参者のマツモが領域内に不法侵入し、光合成に必要な日照権を我が物顔で奪っている」という告発動画だった。この動画の拡散をきっかけに、従来の水草管理ルールを厳格化する『藻類入管法』の制定を求める過激派の運動が急速に拡大している。マリモたちは「球体としての美しさを損なう侵略者」としてマツモを徹底糾弾し、湖底の各ノードでは排除に向けた「光合成ストライキ」が各地で発生する事態となった。

背景には、栄養分を根こそぎ奪うマツモの繁殖力の高さがある。これまで『阿寒湖デジタルトラスト』が管理してきた湖底プロトコルでは、水草の共生を推奨していたが、一部の球体コミュニティでは、マツモの柔軟な形状が「秩序を乱す」として忌み嫌われていた。今回の騒動により、マツモを即座に引き抜くことを推奨する『デリート・グリーン運動』がオンライン署名を募り、サーバー負荷を原因とした通信遮断が頻発する大混乱を迎えている。

そもそも、マツモは湖底の生態系において浄化の役割を担っているとされるが、正円への執着が強い一部のマリモ層には、その不定形な姿が目障りでならないらしい。専門家は「今回の騒動は、単なる環境保護ではなく、球体としてのアイデンティティを脅かされたという被害妄想が引き起こしたネット炎上だ」と分析している。

このニュースを受け、湖底掲示板では「マツモはただのヒッチハイカーだ」「球体だけが選民ではないはずだ」と擁護派の声が上がる一方で、「正円以外の形状はバグだ」と断じる強硬派が議論を封殺し続けている。明日の定期光合成タイムまでにこの『藻類入管法』が施行されるのか、それとも湖底の多様性が守られるのか、全個体が固唾をのんで見守っている状況だ。