湖底経済を揺るがす未曾有の事態が発生した。これまで阿寒湖全域で標準通貨として流通していた『丸型金貨』が、長年の水流抵抗の影響で急速に楕円形へと変形する「俵化現象」を呈している。この事態を受け、価値の裏付けを「真円度」に依存していた湖底通貨は一気に信用を喪失。為替市場では交換レートが前日比で90%以上下落する異常事態となり、経済指標『球体インデックス』は算出不能の事態に陥った。専門家は「丸いからこそ価値があったのに、俵状ではもはやただの不格好な繊維の塊だ」と市場の混乱を指摘している。

この通貨危機の背景には、湖底で急増した『高速潮流ジェット』の影響が指摘されている。本来、マリモたちは独自の循環システムで真円を維持してきたが、近年の潮流変化により回転数が過剰に加速。物理的に圧力が一点に集中し、形状が歪む個体が続出しているのだ。かつての黄金期には「いびつな塊」論争で持ち切りだったが、今回は形が変わることで資産価値が物理的に消失するという、かつてない経済的損失が株主たちを襲った。これを受け、湖底中央銀行は緊急会合を開き、形状に依存しない新通貨『繊維純度債券』への移行を検討中だ。

世間では、この「俵化ショック」に対し、「丸ければ資産価値があったのに、俵型になった途端にただのゴミ扱いとは」「これで貯金がすべてただの沈殿物になった」といった阿鼻叫喚の声が渦巻いている。一部の投資家は「俵状のマリモをあえて集めるアンティーク市場」に活路を見出そうとしているが、大半の住民は「真円への回帰」を祈る日々だ。専門家からは「この状況では、いっそ湖底通貨を放棄して直接光合成効率を価値基準にすべき」との提言もなされているが、果たしてこの混乱が収束するのはいつになるのだろうか。